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カワセミと500系新幹線電車



カワセミと500系新幹線電車

(財)日本野鳥の会会員  仲津 英治
元JR西日本技術開発室長&試験実施部長

 私は、鉄道技術者で(財)日本野鳥の会会員でもある。
 平成元年(1989)から平成7年(1995)にかけて山陽新幹線の高速化に取組んでいた。WIN350という試験電車で日夜走行試験を重ね、最大課題であった車外騒音問題、取分け空力音の課題に取組み、静かに走ることのできる500系新幹線電車に到達することができた。そこに実は趣味の野鳥観察が生きたのである。空飛ぶ鳥はその激しい運動である飛翔という動作で移動し、また自ら生きて生命を伝えるために素晴らしい構造、機能を備えている。自然界で一番静かに飛ぶことができる野鳥、それはフクロウである。フクロウの初列風切にある静穏飛翔の仕掛け、セレーションが新幹線の一番騒音源であるパンタグラフに生かされた。完成品は翼型パンタグラフと呼ばれた。
 そしてトンネルドンとも言われるトンネル微気圧波に大変苦労した結果、500系新幹線の先頭形状はカワセミに極めて近似したのである。大がかりな実験装置を使い、スーパーコンピューターを駆使したシミュレーションの結果が、空中から水中へ小魚を捕食するためにダイヴィングするカワセミ、あのクチバシから頭部にかけての形状に我500系新幹線電車の先頭車は酷似したのである。つくづく自然界にヒントがある、答えが有り得ると体感会得させてくれた走行試験であった。
 このカワセミと500系新幹線のことを少々詳しく述べてみたい。

トンネルだらけの山陽新幹線
 日本の新幹線は、複雑な地形の日本列島に建設されているのでトンネルが多い。東海道新幹線に始まった日本の新幹線は、65平米という世界一狭いトンネルに、幅3.4メートルという世界一幅広の車両を走らせる宿命を負っている。工事費の節約と工期を短くし、多くの方にご利用頂くためである。
 東海道新幹線に続く山陽新幹線は、全線553.7キロの内、実に51%がトンネルで、トンネル新幹線あるいはモグラ新幹線とかあまり有難くないニックネームをもらっている。そして新幹線の高速化にはこのトンネルがもたらすトンネル微気圧波という特殊現象が一番大きな壁となったのである。日本に続いて高速新線を構築していった欧州では、なだらかな地形を生かして、トンネル断面積は85平米前後と大きく、台湾新幹線、中国の高速新線も欧州と同等もしくはそれ以上の大きなトンネルを掘っている。

トンネル微気圧波とは
 絵図1にトンネル微気圧波の原理図を示す。トンネルに高速列車が突入すると、空気の圧力波(圧縮波)が立ちあがり、音速で列車の進行方向へ成長しながら進む。この圧力波はトンネル出口で一部を放出して今度は反対方向に膨張波となって戻って行く。在来線でも狭い単線トンネルではこの現象が起こっており、圧縮波と膨張波が交互に来るたびに、耳ツン現象が起こって不快な気分になられた方がおられることと思う。原理は私共が子供の頃遊んだ竹製の紙鉄砲と同じである。竹筒に棒を急激に押し込むと筒口にある紙玉が、圧力空気を受けて勢いよく飛び出すあの紙鉄砲である。

 そしてトンネル出口で一部放出された圧力波は20ヘルツ程度の低周波で大きな音とともに遠くへ空気振動をもたらす。また一部放出された圧力波は大気圧の1000分の1程度なのでトンネル微気圧波と呼ばれる。
筆者は現地へ何度か出向いて苦情が出ている現場を確認した。トンネル出口から400メートルも離れた民家から苦情が寄せられていたのである。自らもトンネル微気圧波を数回体験した。トンネル微気圧波は音速で伝わってきて、ドカンという音とともにお腹をドスンと押すような圧力波をもたらす。暫くして地獄の底から沸き上がってくるようなゴーという音とともに列車の前照灯が見えてくる。列車風で木立は激しく揺れ、目の前を秒速60〜90メートルが走り抜けて行く。
 このトンネル微気圧波は、時速350キロというJR西日本の高速化目標をも断念させる程の大きな壁となった。トンネルの壁である。難しい数式を使って恐縮だが、トンネル微気圧波は下記のような数式で表される。
 トンネル微気圧波 dp/dt∝1/r*V3
 トンネル微気圧波は上記数式のように圧力の時間変化率dp/dtで表され、車両とトンネルの断面積比率rの逆数と列車速度Vの3乗に比例する。この式から判る通り、トンネル断面が大きく、車両断面が小さければ、トンネル微気圧波は減少してくれる。試験電車のWIN350は車両高さ3.3メートルと低くし、断面積も10平米程度に圧縮した。それでもこれが最大の課題となったのである。技術的に克服することが要求されて来た。

トンネル空力学への初挑戦
 平成4年(1992)6月頃、高速化試験を開始してからまもなくトンネル微気圧波問題は、新幹線高速化の最大の壁となった。JR西日本では、大学、鉄道総合技術研究所などの頭脳の力を借りることとなった。
 WIN350の先頭形状、断面積は変えようが無いので、まず地上対策の検討から入った。
鉄道総研は、長大な新関門トンネルではトンネル微気圧波問題が発生していないことに着目し、トンネルの横穴などが(トンネル工事の際、横穴、縦穴を掘って工事を行ない、それらを一部残している場合がある)トンネル圧力波を吸収抑制する効果があるようなので、それを生かそうとの提案を出して来た。
 具体的には入り口にトンネル緩衝工なる構造物を設け、構造物に窓を開けてそこから成長する圧力波を抜こうというアイデイアであった。

 写真2を見て頂くと判る通り、トンネルの入口にトンネルを数倍するフードのようなものを設置し、窓を両側に開けている。これは大平山トンネルに設置したもので、長さは49メートルもあり、窓は両サイドに5か所設けられている。立ち上がった圧力波が窓から抜けて結果圧力波の成長が抑えられるのである。これでトンネル微気圧波は見事に克服され、試験区間はトンネル緩衝工もある程度整備されて、WIN350も時速300キロ以上で走行試験を継続できるようになった。
 しかし、大きな課題があった。新幹線は朝6時から夜24時まで営業運転しており、トンネル緩衝工の設置工事は当然深夜の数時間に限られる。工事用道路も必要とし、工事費も大変なものになる。結局トンネル微気圧波は車両側で対応することがメインの対策として求められることとなったのである。

自然の造形 カワセミ
 トンネル微気圧波問題で、高速化そのものが暗礁に乗り上げそうな状況になり、関係者みんなが悩みぬいていたころ、走行試験中にある試験部員が「部長、列車がトンネルに入った時に列車が縮むように感じます」と言ってくれた。実際、WIN350は抵抗変化時に連結器部分で前後方向の伸縮を吸収していたものと推察された。野鳥観察をしている筆者はこの時、閃くものがあった。「開けた空間から狭いトンネルに突入する時、当然前後方向にブレーキがかかるような抵抗力が働く。列車が縮むとは大変な抵抗の変化があるからだ。自然界に抵抗の大きな変化を日常的に体験している生き物がいないか」と想いを巡らせた。そして頭に浮かんで来たのがカワセミである。水辺の宝石とも言われるコバルトブルーの羽を持つあのカワセミである。

 絵図3に示すように新幹線電車は団子鼻のような先頭車形状ながら長年親しまれたゼロ系から100系、300系そしてWIN350と流線型に類似する先頭形状になってきた。しかし我々なりにこれならと思っていたWIN350でもトンネル微気圧波問題が起こった。となれば、日常小魚を捕食するために抵抗の少ない空気中から、大きな抵抗を有する水中にダイヴィングするカワセミ、あの嘴から頭部に掛けての形状が参考になるのではないかと、思ったのである。しかしフクロウのように剥製を手に入れてまでカワセミの形状を解析した訳ではない。

 このトンネル微気圧波問題は、前述した通り、JR本州3社の共通の大きな課題となっていた。取り分け時速300キロ以上を目指していて、コンクリート式の軌道のトンネルが多いJR西日本とJR東日本にとっては深刻な課題であった。そこで鉄道総研の空力研究室では大掛かりな実験装置を作り、どんな先頭形状が良いか徹底的に理論と実験を重ねてくれたのである。写真8は、列車模型をトンネルに模した狭い空間に打込む実験装置である。

 この実験で写真9に示すように様々な形をした先頭形状の模型(円錐形、回転放物面体など)を使って圧力波データを収集して行った。そして理論解析も重ねる中で出された結論は、「車両は先頭から長手方向に向かって断面積が増加して行くが、断面積の変化率が一定の形状がベストである」ということであった。

 断面積の変化率が一定の形状の中で、列車の先頭車として実用に供しうる形状としては二通り考えられる。今一つは楔型(クサビ、Wedge)であり、もう一つは回転放物面体である。例としてY=b√Xの放物線をX軸上で回転されるときにできる立体が回転放物面体である。

 何れの形状も計算してみると、断面が増大する長手方向の断面積変化率は一定であることが判る。一番流線型のように思える円錐は長手方向に断面積は変数に比例して大きくなり、抵抗の大きな形状になるのだ。

 そしてJR西日本は断面積に比べ、周囲の長さが一番小さい円形断面であれば、走行抵抗も減ると考え、断面積変化率一定の回転放物面体を選択したのである。
 さて500系の回転放物面体に近い先頭形状はカワセミに極めて近似した。自然の造形に近づいた500系となったのである。先頭車の断面変化部は15メートルにも達し、先頭車長さの27メートルの半分強を占める。試験車WIN350では精々10メートルであった。その姿は近未来を思わせる素晴らしい流線型であり、大変な人気列車となり、マスコミも大いに取り上げてくれた。

 絵図12と絵図13は、朝日放送系列テレビが平成16年(2004)3月19日に放送したキャノンスペッシャルの一こまの絵図である。
円錐形とカワセミ型と称する回転放物面体の物体を空気中から水面に落下させた時、カワセミ型より円錐形の方がはるかに大きな波を水面上に発生させ、抵抗が大きいことを証明してくれたのである。カワセミのように水中にダイヴィングして魚を捕食する鳥は、結構いる。海鳥のアジサシ、カツオドリ系の鳥たちである。サギ類もまた嘴を水に急速で突っ込んで魚を捕食するので、抵抗の少ない理想的な嘴をしている。しかしいずれも厳密には回転放物面体ではない。

 カワセミの嘴と頭部の骨格を写真14に示す。正面から見ると嘴は上下一組から構成されており、嘴を閉じると丁度絵図15に示すように4つの円に囲まれた円弧菱形をしている。嘴の先は当然尖っており、頭部に向かって断面積が大きくなっている。
円弧菱形のある断面の4分の1の面積を計算すると、
{(2a)2―πa2}/4=(1―π/4)a2 ここでaは円の半径
のように表され、この4倍が円弧菱形の面積S=(4−π)a2
  となる。
 これが長手方向でY =b√X の曲線の回転体と同様に変化すると想定すると、半径a=Yであるから
、 X地点での面積は  S=(4−π)a2 =(4−π)Y2=(4−π)(b√X)2=b2(4−π)Xとなる。
 そこで断面積のX軸方向の変化率は dS/dX=(4―π)b2=一定となる。
ということで、カワセミの嘴の断面積変化率は一定であると類推でき、抵抗の急激な変化を伴う、空気中から水中にダイヴィングする時に理想的な形状であると言えるのである。難しい数式にお付き合い頂いたが、この計算式は数年前に考えついたものである。
 500系新幹線電車は、自然の造形の一つであるカワセミに近づいた。しかし野鳥も魚もあるいはまた自動車、飛行機も前に進むことを最大条件として自らの姿、構造を決めればよい。鉄道車両はそうはいかない。ターミナルで折り返し運転をするので先頭車は最後尾車にもなる。先頭車にとって最善の姿・形が最後尾車にとって良いとは限らない。
 そこでJR西日本は当時の文部省所属の宇宙科学研究所に委託して、特に条件の厳しいトンネル内で列車が高速ですれ違う時のシミュレーションをお願いした。スーパーコンピューターを駆使したシミュレーションの結果、楔形先頭形状も回転放物面体先頭形状もいずれも最後尾車となっても空気圧力波、空気流による振動などは大きな問題とならないことが判明した。

自然に学び、自然に近づいた成果
 さて、500系新幹線電車は、フクロウに学びカワセミに近づいて世の中にデビューした。平成9年(1997)3月のことである。そして大変な成果を我々にもたらしてくれた。言わば、自然に学び、自然に近づいた成果である。
 平成7年(1995)頃からマスコミでも500系新幹線電車はマスコミでも大きく取り上げられた。写真17は、2004年3月テレビ朝日系列で放送されたキャノンスペッシャルのPR写真である。

走行抵抗とエネルギー消費
 絵図18と絵図19に示す通り、500系車両は先にJR西日本でもデビューしていた300系車両に比べ、出力は18,000kwと1,5倍、最高速度は時速300キロで1割強上であり、通常速度が1割以上アップすれば、エネルギー消費は速度比の2乗に比例して増えるはずである。ところが実際電力消費量を新大阪―博多間で測定したところ、300系の23,000kwhに比べ、20,000kwhと15%の下回ったのである。 ここで話は少しそれるが、20,000kwhという電気消費量は、日本の一般家庭の4〜5年分に相当する巨大なものであるが、電気料金は約24万円であり、お客様が各車両僅か一人づつ合計16人も乗って頂ければ、回収できる金額なのである。
本論に戻ろう。前述の電力消費量減の中には運転時簡短縮による消費減もあるが、数パーセントのオーダーであろう。明らかに走行抵抗の減少が主たる理由である。時速200キロ以上となれば、空気抵抗が太宗を占める。そして空気抵抗の減った理由として流線型の先頭形状に答えを普通は求めるであろうが、空気抵抗の内、先頭車部分の抵抗は16両もの編成となれば1割程度に過ぎず、大半は中間部分の抵抗が占めるのである。

 何故か。列車周りの空気流を確かめると、表面から1.5メートル以内の空気は列車に追随して進行方向に向かっていることが判った。つまり列車は厚さ1.5メートルの空気のマントを引きずって走っていることになる。これが空気抵抗なのだ。筆者は走行試験を繰り返し、繰り返し体験して、このことを実感した。この空気のマントの量を減らすことが空気抵抗の減につながる。となれば列車の周囲の長さを短くすることが、一番である。答えは「円」である。円形が同じ面積を得るのに周囲長が一番短くて済む。円は面積効率が良いのだ。WIN350は矩形断面であったが、走行試験と模型実験、コンピューターシミュレーション等の結果、我が500系は回転放物面体に近づいた断面となり、断面は円形に近いのである。結果空気抵抗を格段に下げることができた訳だ。
 カワセミという自然の造形に近づいた結果、走行抵抗が減り、省エネ・省資源を実現したのである。実際に空飛ぶ鳥の胴体の断面は全て円形である。そして車外騒音もストンと下がった。絵図21に滋賀県の騒音測定結果を示す。300系に比べ5デシベルも下がってくれたのだ。

 もう一つカワセミに似た先頭車は、対向列車にも優しいのであるWIN350に乗車しWIN350と500系のすれ違い試験を体験させてもらった時、300系などとすれ違う時、明らかに車両動揺を感じるのであるが、500系とすれ違った時は、ほとんど動揺を感じなかった。一心不乱に測定データ等を観ているスタッフには、500系とすれ違ったことすら気がつかなかった者もいたのである。500系の営業運転開始後もこのことは実感した。

自然の偉大さ
生きるそして命を繋ぐ

 500系新幹線電車には、フクロウの静穏飛翔の原理が高速域では最大の騒音源であるパンタグラフに生かされた。そしてトンネル微気圧波対策で悩む中、先頭形状はカワセミの嘴から頭部に掛けての形状に近似し、車体断面は鳥類の胴体断面である円形に近づいた。結果平成9年(1997)3月のデビュー以来、時速300キロという本邦最高速でありながら、静かで乗り心地がよく、しかも省エネ運転を実現してきたのである。まさに「自然に学び、自然に近づいた大きな成果」をもたらしたのである。
 500系新幹線の開発・走行試験の初期段階の頃、本当に親身になってご教授戴いた故矢島 誠一先生とご親友の宮村 元博先生のお二人から、頂いた「飛行機設計論」という本(昭和43年(1968))の巻頭言を披露する。お二人とも野鳥の会会員であった。

◎ 自然は教科書、教師
 「工学的創造力を修練するには多くの方法があるであろう。しかし、最良の教科書であり、教師であるのは自然では無かろうか。自然には、今までの長い歴史が秘められている。永遠は幽玄である。永遠を生きて来た自然は、幽玄にして強力、確実無比な存在である。鳥の飛翔、魚の遊泳、野の草の風にたなびく風情、樹の幹と枝および、葉の茂みの調和、いずれも自然の恵みによる生育の過程の表象である。 一木一草、一鳥一魚、みなわれわれの輝ける永遠の教師であろう」。 《飛行機設計論の巻頭言》  (昭和43年刊、山名正夫、中口 寛共著)
 生物は、自ら生きるがためにそして、命を繋いでいく過程でそれに相応しい姿、形、大きさ、機能を獲得し、伝えて来たのであろう。進化して適者生存の存在となり、我々人類も含めて、最良の教科書であり、教師であるのは自然なのであろう。

自然に学んで来た航空機
 具体的な写真なり絵図とともに野鳥の姿、形が航空機に生かされている例を見てみよう。

 ツバメは、二つに分かれた尾羽を使って旋回機能を高め、飛んでいる虫を巧みに捕食する。二枚の尾翼を持つのはF-22ラプター戦闘機などである。空中戦に必要な旋回機能を高めるためであろう。

 ムクドリは飛翔中、飛翔中の姿は三角形に近く、高速飛行には後退翼が向いているので参考にされたと伺った。

 大きな鳥の初列風切の外縁部には上方に向けて反り返りができる。これは翼の端部における渦の発生を防ぎ、あるいは渦の発生方向を上方に移動させることで空気抵抗を減らし、結果飛翔抵抗を減らす機能をもっている。ボーイング737など多くの大型旅客機にはこれを参考にしてウィングレット(翼端板とも呼ばれる)が設けられており、燃費の向上に繋げている。写真は丹頂鶴とB737の例である。

 鷲鷹類のチュウヒは地上の獲物を探すか、狙いを定めるときに空気中でゆっくり羽ばたくか長く滑翔する。その際正面から見た飛翔形は見事に緩やかに湾曲している。この翼の撓りが長時間の飛翔に適しているのであろう。最近開発製造されたボーイング787は、CFRPなどの複合材料を機体に活用して18%もの軽量化に成功し、航続距離の長い中型機として将来を期待されている。その主翼は飛行時チュウヒに似た湾曲線を描いている。筆者はボーイング787の写真を見たときチュウヒそっくりだと思った。チュウヒは鷹の中でも軽い。軽い骨格構造があの湾曲線を作り出すである。 

 さて、最後に三十五万有余キロを走行し、数々の成果を500系新幹線電車にもたらした試験電車WIN350のお別れの儀式の時に、筆者が披露した自作詩「ウィン350に捧げる」を下記に掲げて本稿の締めくくりとしたい。WIN350の一号車が米原の鉄道総研の風洞の傍らに、また、6号車はJR西日本博多総合車輌所に保管されている。 



ウイン三五〇に捧げる

平成八年五月(一九九六)
仲津 英治 作

満天の星の光を受けて
月光の地の霜に浮かぶ
白き黎明に淡く光りて
日輪高きに光彩放つ
雨露風雪を越え行きて
紫龍たる汝走り続けること 四星霜
その道程(みちのり)実に 三十五万有余キロ
汝の姿に幾多の叡智を見
汝の満身に
我等が試みの跡を見ゆ
幾多の心血が注がれたる
幾多の腕(かいな)が工(たくみ)為したる跡
図り 作り
設け 修し
測定(はか)り そして 分析(わけ)る

さらに次なる試みへ
はたまた地にありて
備える人 測る人あり
暑さを厭わず 寒さを厭わず
汝が走りを迎えたり
汝が走れる中に 自然に学べる姿を見る
汝が働き次世代(いのち)を伝う
その名ぞ五〇〇系
より静かに
より快く
より優しく
また実りの限り ここに極みて
人を和しぬ
ウイン三五〇 汝 その役割果せり
我等が誇りの原点(みなもと)なり
静かにその勇姿を留めよ。





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