1950年代に入って戦後の復興が進むと、郵便局で日常的に売られている普通切手にもグラビア印刷のモノが登場するようになりました。 こうしたグラビア普通切手のうち、鳥を描いた最初の1枚はホトトギスの3円切手で、以後、オシドリの5円切手、山鳥の80円切手、タンチョウヅルの100円切手、イヌワシの90円切手などが発行されました。 しかし、これらの切手は、植物や仏像を描く他の普通切手とともに売られており、それぞれの額面ごとに図案の題材やデザインの雰囲気が大きく異なっていることもあって、普通機って全体としての統一感はありませんでした。このため、利用者からは、諸外国にならって普通切手のデザインを統一感のあるものとしたほうが良いのではないかとの声があがっていました。 1989年、元号が昭和から平成に変わったのを機に、普通切手も一新され、“日本の自然”をテーマに、昆虫、鳥、花を取り上げた統一感のあるものとされることになりました。 切手デザインのフォーマットは、題材となる鳥や昆虫を中央に置き、バックに左上から右下へと流れるストライプをはさんで大小の三角形を組み合わせたもので、デザインは森田基治が担当しました。このため、この普通切手のシリーズは、一部で“森田切手”と呼ばれたこともありましたが、結局、平成切手という呼び名が定着しています。 平成切手の最初のものは、1992年11月30日に発行された41円(葉書料金用)のオシドリ、62円(25グラムまでの書状基本料金用)のキジバト、72円(25グラムから50グラムまでの書状料金用、図案はヤマガラ)の3種類です。その後、1994年1月24日に郵便料金が改正され、書状基本料金が62円から80円に値上げされると、順次、50円のメジロ、80円のヤマセミ、90円のカルガモ、130円のウソの切手が発行されていきました。 なお、1996年3月28日に発行された最高額の1000円切手は、桃山時代から江戸時代初期にかけて制作された「松鷹図」が取り上げられており、サイズが大型であることもあって、森田のデザインした他の切手とは雰囲気が大きく異なっています。 内藤陽介(ないとう・ようすけ) 1967年東京都生。郵便学者、(財)切手の博物館・副館長。日本文芸家協会会員。切手や郵便物から時代と社会を読み解く執筆・講演活動を行っている。 香港政府観光局推薦の『香港歴史漫郵記』(大修館書店)他、著書多数。 内藤陽介のブログ: http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
【凡例】
ほととぎす(ホトトギス)
おしどり(オシドリ)
やまどり(ヤマドリ)
タンチョウヅル(タンチョウ)
イヌワシ
オシドリ
メジロ
キジバト
シジュウカラ
ヤマガラ
ヤマセミ
カルガモ
コチドリ
モズ
ウソ
イカル
カケス