昭和38年度のシリーズ切手の題材に関しては、当初、郵政省内では、鳥シリーズのほかに風俗シリーズ(大島のあんこ椿や長良川の鵜飼など、各地の風俗を紹介するという企画)、文芸シリーズ(尾崎紅葉と金色夜叉の場面など、文豪の肖像と代表作の有名な場面を組合せて紹介するという企画)、動物シリーズ、昆虫シリーズなどが候補として挙げられましたが、このうち、最終候補としては、鳥シリーズと風俗シリーズに絞り込まれました。 1963年1月18日の郵政審議会専門委員会では、“風俗”は切手とするのが難しいという声が強く、また、農林省からも5月の愛鳥週間にあわせて記念切手を発行してほしいとの要望が出ていたこともあり、鳥シリーズの企画が採用されます。 当初、郵政省では鳥シリーズは日本特産の身近な鳥を取り上げる予定でしたが、愛鳥週間にあわせて鳥の切手を発行することを提案していた農林省は、絶滅の恐れがある鳥を取り上げるべきと主張。このため、委員会では、両者の折衷案として、身近な鳥と絶滅危惧種をあわせて題材を選定することとしたうえで、タンチョウなど、それまでに切手に取り上げられたものは除くことを決定。最終的に、①ルリカケス(天然記念物)、ライチョウ(特別天然記念物)、サンコウチョウ、コウノトリ(特別天然記念物)、ホオジロ、ウグイスの6種類を取り上げる。②これら6種類を6月から隔月で発行する、③シリーズの最初はルリカケスとする、という方針が決められています。 こうして、NHKの名瀬テレビ放送局の開局ならびに日本電信電話公社・鹿児島=名瀬間のマイクロ回線開通の記念日である1963年6月10日にあわせて、奄美大島と徳之島のみに生息する珍鳥ルリカケスの切手が鳥シリーズ切手の第1集として発行されました。 なお、当初、シリーズ第3集には、サンコウチョウが候補として挙げられていましたが、デザイナーから、サンコウチョウは極端に尾が長いため鳥切手のフォーマットには収まりにくいという意見が出されたため、サンコウチョウに代わりキジバトの切手が発行されることになりました。 ■詳しくは、内藤陽介著「切手バブルの時代」をご覧下さい。 内藤陽介(ないとう・ようすけ) 1967年東京都生。郵便学者、(財)切手の博物館・副館長。日本文芸家協会会員。切手や郵便物から時代と社会を読み解く執筆・講演活動を行っている。 香港政府観光局推薦の『香港歴史漫郵記』(大修館書店)他、著書多数。 内藤陽介のブログ: http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
【凡例】
るりかけす(ルリカケス)
らいちょう(ライチョウ)
きじばと(キジバト)
こうのとり(コウノトリ)
うぐいす(ウグイス)
ほおじろ(ホオジロ)