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文・園部浩一郎
絵・谷口高司 |
初夏の光の中に、と始めたいところなのですが夏鳥についてはネタが切れてしまいました。そこでちょっと唐突ですが、今回はキガシラセキレイ(以下キガシラ)Motacilla
citreolaの見分け方をご紹介します。
キガシラとツメナガセキレイ(以下ツメナガ)はともに全長16.5cm。キセキレイ(全長20cm)、ハクセキレイ(全長21cm)よりもひと回り以上小さく、尾も短いのが特徴です。このように大きさには差がないので、キガシラの雄冬羽、雌、若鳥とツメナガとの混合がかなり考えられます。
キガシラはシベリア中東部、中国東北地方から中央アジア、ヨーロッパ東部にかけて広く繁殖しています。日本では、主に春の渡りの時期に西日本や日本海側の島で少数が観察されています。今年(1987年)の正月、筆者らは沖縄県石垣島のサトウキビ畑の伐り跡で採食中のツメナガ約30羽に混じるキガシラセキレイを観察しました。1羽は下の図の雌または雄冬羽タイプの個体、もう1羽はじっくり観察できませんでしたが下の図の若鳥(右側)の個体でした。キガシラは中国東南部で越冬しているので、南西諸島で少数が越冬している可能性があります。
少し詳しく見てみましょう。まず雄夏羽ですが黄色い頭部と黒いマフラーが特徴で、他種と見間違えることはありません。雌は雄冬羽に非常によく似ています。つまりツメナガと混合しやすいのは雌、雄冬羽、若・幼鳥ということになります。
キガシラ各羽の一般的な特徴としては、三列風切と雨覆の羽縁が白く幅広いことがあげられます。以下、各羽について基本的な見分け方を述べておきます。
キガシラ雌雄成鳥の背から腰は灰色ですが、ツメナガはオリーブ色または茶褐色味を帯びます。ただしキガシラ若鳥の背から腰は茶褐色味を帯びるので注意を要します。
キガシラ雌、雄冬羽、若・幼鳥羽は顔の模様に特徴があります。眉斑は目の後で特に広くなり、暗色の耳羽をカーブを描きぐるりと囲み、顔の下部につながります。なかにはそれにあてはまらない個体(下図・若鳥の右側の図参照)もいますが、顔をじっくり見ることが見分け方の基本のようです。
石垣島で観察したキガシラでは、残念ながら鳴き声を聞くことはできませんでした。しかし冬にインドのケオラデオ国立公園で数個体のキガシラ(日本に渡来するものとは亜種が違いますが)を観察した時、ジジジジジッ、ジッジッなどと(文字であらわすとツメナガと同じです)ツメナガよりも張りのある高い声でした。
真夏にキガシラが現われることはまずありませんが、秋の渡りの時期や南西日本の冬期、セキレイ類を見つけた時には、本種が混じっていないかよく観察してみてください。また同時にツメナガについても、各亜種間の違いなどを観察して、ぜひ本会編集室まで記録を寄せてください。皆さんからの新たな識別点などについての記録をお待ちしています。
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