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文・園部浩一郎
絵・谷口高司 |
台風などで強風が吹き荒れたあと水辺へ探鳥に出かけると、思わぬ野鳥に出会うことがあります。ヒレアシシギの仲間もそのひとつ。水面をくるくるとせわしなく泳ぎながら、採餌をしています。今回は、このヒレアシシギ類の見分けを紹介します。
雌が雄よりも美しい羽色をもち、雄が抱卵、育雛を行うヒレアシシギ類は、世界に3種がいます。アカエリヒレアシシギ(全長18〜19cm)、ハイイロヒレアシシギ(全長20〜22cm)の2種は、日本では春秋の渡りの季節に海洋上で群れが見られます。アカエリヒレアシシギは、しばしば海岸近くの海上、内陸の水田、湿地、湖沼などにも飛来しますが、ハイイロヒレアシシギはアカエリヒレアシシギよりも数が少なく、しかも海岸近くや内陸部へやってくることはまれです。
アメリカヒレアシシギ(全長22〜24cm)は、北米大陸中西部で繁殖、陸地伝いに南米大陸南部に渡る鳥です。日本では、1985年5月11〜12日、愛知県幡豆郡一色町塩田跡で、榛葉忠雄・武田由紀夫・青木正男の各氏によって雄が1羽、1986年7月13〜14日、同所で松原知永子さんによって雌1羽が観察されました。
アカエリヒレアシシギとハイイロヒレアシシギでは、くちばしがアカエリヒレアシシギでは黒く細いが、ハイイロヒレアシシギでは太いこと(色は冬羽・幼鳥羽では黒く、夏羽では黄色く先端部が黒い)で見分けられます。しかし、洋上では飛翔中の少群を観察する機会が多いので、(夏羽同士の見分けはできますが)冬羽あるいは幼鳥羽同士の見分けは、かなり難しいと思われます。ハイイロヒレアシシギの翼下面は白色だが、アカエリヒレアシシギの翼下面は初列雨覆と中雨覆の一部が暗色な点、冬羽同士の場合、アカエリヒレアシシギの方がハイイロヒレアシシギよりも上面の灰色が濃い点が異なりますが、洋上でそこまではなかなか見えないと思われます。
アメリカヒレアシシギは、ヒレアシシギ類中もっとも体が細いこと、もっとも細く長いくちばし(くちばし基部から後頭部までの長さよりもくちばしの方が長い)をもつこと、足が長く飛翔時には尾を越えて足が出ること(夏羽では黒色、冬羽・幼鳥羽では黄緑色)、飛翔時には翼帯に白線がなく、白い腰をもつことで、他の2種との見分けは比較的容易です。また、地上を歩いている時は、コキアシシギやアシナガシギとの見分けに注意を要しますが、コキアシシギは上面により細かい斑があること、のどから胸にかけて灰褐色の少斑があること、足が黄色なことで、アシナガシギはより長く太いくちばしで、くちばしの先端部がわずかに曲がること、足が黄色〜灰緑色なことで、アメリカヒレアシシギと見分けることができます。
なお、本稿の作成には、1986年5月にイギリスで出版された「SHOREBIRDS(世界のシギ・チドリ類の識別ガイド)」を参考にしました。この識別図鑑は、世界のシギ・チドリ類全種について、夏・冬・幼鳥各羽の静止図や飛翔図、分布図、そして詳しい解説文がつている、シギ、チドリファン待望の1冊です。
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