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文・園部浩一郎
絵・谷口高司 |
今回は、決定版図鑑「フィールドガイド 日本の野鳥」(高野伸二著・日本野鳥の会刊)が1982年11月に発行された後、日本で新たに記録された野鳥のうち、ヤドリギジナイ、ダルマエナガ、ズグロヤイロチョウの3種についてご紹介します。
ヤドリギジナイ(全長28cm)はヒタキ科ツグミ亜科に属するツグミの仲間で、ヨーロッパから中国西北部にかけて広く分布します。日本では1984年2月8日、愛知県名古屋市の小幡緑地で木村孝太さんによって1羽が観察されていますが、通常の分布域からかなり離れて迷行してきた例といえるでしょう。
類似種としては、ヨーロッパからソ連(現ロシア)バイカル湖付近にかけて分布するウタツグミ(全長21.5cm Turdus
philomelos)、中国中央部に留鳥として分布するミヤマウタツグミ(全長23cm T. mupinensis)がいます。これらの両種とは、ヤドリギジナイの方が2回りくらい大きいこと(トラツグミ大)、ヤドリギジナイの尾の外側羽が白色なこと、体とのバランスでヤドリギジナイの尾はかなり長く見えること、飛翔時の翼下面がヤドリギジナイでは白色なことで、見分けることができます。
ダルマエナガ(全長11.5cm)はヒタキ科ダルマエナガ属の鳥で、ソ連(現ロシア)ウスリー南部から朝鮮半島南部、中国東南部、台湾にかけて留鳥として分布し、7亜種に分けられています(亜種ごとに少しずつ色彩が異なりますが、下の図には中国東北部、朝鮮半島南部に生息する亜種の絵を描いてあります)。日本では1984年5月5日、新潟県粟島のアシ原で鳥類標識の作業中に弱っているところを風間辰夫さんによって1羽が保護されました。
ダルマエナガ属の鳥はこれまで日本では記録がありませんでしたが、小さいけれど縦に長く幅の狭いオウムのような嘴が特徴的です。ダルマエナガは丸い頭と長い尾、赤っぽい頭部から胸(雌および若鳥は赤味が少ない)が目立ちますが、アシ原や叢林の中に好んで生息しているので、なかなか見つけにくいと思われます。
今回の迷行例は、風間辰夫さんによると、台風なみの低気圧による強風で大陸から飛ばされてきたものと考えられる、とのことです。
ズグロヤイロチョウ(全長19cm)はヤイロチョウ科に属し、インドから中国南西部にかけて分布しています。
日本では1984年6月、沖縄県石垣島で島村修さんによって1羽が保護されました。本州西部から四国、九州にかけて夏鳥として渡来するヤイロチョウとは、顔からのどにかけて黒の幅広いフード(英名のHooded
Pittaの由来)があること、胸から脇腹にかけて緑色をしていることで、簡単に見分けることができます。
ダルマエナガとズグロヤイロチョウについては、いずれも発見、保護された後、残念ながら落鳥しています。日本に渡来した時点で、かなり体力を使い果たしていたものと思われます。
観察の精度が上がり、バードウォッチャーの人口が増えることにより、各地から新しい記録が寄せられています。1つ1つの観察例でも、全国の情報を集計すると新しい知見が得られることがあります。稀少鳥の記録だけでなく、興味深い行動や繁殖、越冬記録など、あなたの観察した野鳥に関する情報をぜひお寄せください。
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