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バードウォッチングを始めよう

 
ひなこのお散歩鳥講座
秋冬のバードウォッチング 探鳥会を楽しもう!
イラスト
イラスト/小島早恵
木の葉の舞い散る晩秋から初冬にかけて、公園や水辺など身近な環境に多くの鳥たちがやってきます。本会の提唱する「バードウォッチング・ウィーク」の到来です。このシーズンに鳥を見る魅力、そして全国の支部の探鳥会をご紹介します。一人で見るのも楽しいけれど、みんなと一緒も楽しいもの。多くの人々とバードウォッチングの喜びを分かち合える探鳥会に、あなたも参加してみませんか。

バードウォッチング・ウィークは探鳥会へ行こう!

こんにちは、ひなこです。秋冬は野鳥が見やすい季節です。ツグミやジョウビタキなどの冬鳥や、山から低地に移動するウグイスやアオジなどの小鳥たち、カモやカモメの仲間(なかま)など見つけやすくじっくり観察(かんさつ)できる鳥たちが身近なところへもやって来ます。今日は、バードウォッチング・ウィークの探鳥会に、お父さんを連れ出しました。なんだかちょっと不安そうだけど、楽しんでくれるかな?

秋冬こそバードウォッチング

ひなこ(以下 ひ)ほら、あそこに人が集まってるでしょ。
お父さん(以下 父)なんだかみんな、鳥に詳(くわし)そうだな…。
大丈夫(だいじょうぶ)よ。ほら、 双眼鏡(そうがんきょう)を持っていない初心者も来てるわ。お父さんみたいなオジサンも多いみたいだし。
探鳥会リーダー(以下 リ)おはようございます! 今日は秋冬ならではの野鳥たちを観察していきましょう。
おはようございま〜す!
やあ、元気がいいね。こちらはお父さん?
はい。まったくの初心者なので、よろしくお願いします。
バードウォッチング・ウィークは特に初心者大歓迎(だいかんげい)です。きっと楽しんでいただけると思いますよ!
そういえういえばこの探鳥会の案内にもそう書いてありましたけど…?
はい、バードウォッチング・ウィークというのは、1982年に日本野鳥の会が提唱したもので、11月1日からの一週間をさします。 自然保護運動(しぜんほごうんどう)をすすめる上で、野鳥や自然の理解者を増やすことはとっても大切なことですから、この時期(じき)にPRしようってわけです。バードウォッチングは1年中楽しめるのですが、特にこれからは…。まあ、百聞(ひゃくぶん)は一見(いっけん)にしかず。観察に行きましょう!

冬の小鳥たち

ツグミの写真
ツグミ
渡ってきたばかりの秋にはよく木の実を食べています。春が近づくと、地上で虫などを探している姿も見られるようになるんですよ。(T)
池に出る前に、小鳥を探してみましょう。
あっ、あの赤い実のなってる木に止まってるよ。
おまえ、目がいいな。
慣れてくると気がつくようになりますよ。はい、望遠鏡にセットしたのでのぞいてください。
おお、よく見えるね。なんていう鳥ですか?
胸にまだら模様(もよう)があるからツグミよ。
お父さん、この鳥、どこから来たか分かりますか?
えっ、渡り鳥なんですか?
秋にシベリアから渡って来て日本で冬をすごすのよ。
へえーっ、こんなに小さい鳥でも、海を越(こえて)んで飛んで来るんですか。
この時期は、もっと小さい鳥でも、北国から渡って来るのがいるんですよ。ひなこちゃんも探してみて。
ジョウビタキのことね。お父さんも、「ヒッ、ヒッ」って声が聞こえたら教えてね。せっかくだからツグミのお食事を見ながら、待ってまってしょ。
ジョウビタキのオスの写真 ジョウビタキのメスの写真  
ジョウビタキ
スズメサイズで、本州以南で冬を越します。林の中よりは開けた環境を好むので、空き地などがあれば市街地でも普通に見られます。群れはつくらず、1羽で見られます。左がオス、右がメス(I)
先へ行かなくていいのかい?
そんなに歩き回らなくてもいいのよ、ゆっくりのんびりでも大丈夫。
そうか?…ツグミって鳥は、実を次から次へと丸のみしてるぞ。案外食いしん坊だな。
鳥はよく食べ、よくフンをする動物なんだって。それに丸のみするから、タネがフンと一緒(いっしょ)に運ばれることになるのよ。木の実は、鳥に食べてもらえるように目立つ色をしているし、のみ込みやすい形をしているでしょ。
イラスト 「持ちつ、持たれつ」の 関係(かんけい)だね。
鳥と植物だけじゃなくて、鳥と昆虫(こんちゅう)、昆虫と植物…生きもの同士のつながりはきっとたくさんあるんだと思うわ。
あっ、なにか声がする。あのやぶの中かな…。
この「チャッ、チャッ」っていう声ね。ウグイスは“ひかげ者”だから、探してもなかなか見えないとないと思うけど…。
なに、これがウグイスの声なのか?
ウグイスの写真   アオジの写真
ウグイス
北海道や山地で子育てをし、秋冬は本州以南の低地のやぶにいます。ウグイス科の鳥はそれぞれの声に特徴があり、季節や環境と合わせて見分けのヒントになります。庭のカキの実や、餌台のジュースにも来ますが、開けたところに長時間いることはありません。(I)
アオジ
北海道や本州中部以北の山地で子育てをし、秋冬は本州以南の低地のやぶですごします。ウグイスより細い声で「チッ、チッ」と鳴きます。これはオスです。メスの顔には緑味がなく、眉斑(びはん:目の上の部分にある眉のような模様)があります。(T)
秋冬はホーホケキョ、ってさえずらないから、身近にいても分からない人が多いの。うちの庭にも来たことがあるのよ。ウグイスやアオジは、庭や公園でも低いしげみさえあればやって来るわ。
他にも、メジロ、アカハラ、シメなどのように、山や北海道などから移動してきて、本州以南の低地で冬を過ごす鳥がたくさんいます。葉が落ちると姿も見やすくなりますし、子育ての季節のなわばりがなくなって、群れで見られるようになります。
山ならカラの混群(こんぐん〈※1〉)とか、街の中でもハクセキレイの集団ねぐら〈※2〉を見るのも楽しいもんね。
オナガガモのオス。換羽前、換羽中、換羽後と順を追った写真。
オナガガモのオス
上から順に換羽(かんう)前、換羽中、換羽後。渡ってきた頃のオスはメスによく似ていて、くちばしの模様で見分けます(メスのくちばしは全部黒い)。秋が深まると胸や首の白、体のグレーなどが現れ、晩秋(ばんしゅう)から年明け頃には、長い尾羽がそろって、メスへのプロポーズが始まります(I)
他の参加者(以下他)お〜い、ジョウビタキがいたよ。
やった! お父さんも早く!
(望遠鏡をのぞいて)へぇー! なんてきれいな鳥なんだ。
家のアンテナにも止まっていたりするのよ。あれはオスだから、オレンジが鮮(あざ)やかできれいでしょ。メスはメスで渋(しぶ)くてかわいいのよね。ほら、図鑑(ずかん)を見て。
おおっ、目がくりっとしてて、こっちの方がかわいいな。メスはお尻だけオレンジ色で色っぽいじゃないか。
さすがお父さんもオス…。
オスも渡って来たばかりの秋のはじめはメスと同じ地味な色をしていますが、冬の結婚(けっこん)シーズンに向けて派手な衣装(いしょう)に衣替(ころもが)えしていくんですよ。
…おいひなこ、カモは冬に結婚するのか?
うん、普通(ふつう)は春に結婚して、だからラブソングも春に始まるんだけど、カモは例外。冬に結婚するし、ラブソングを歌えないから、オスはこれから派手にならないとメスにもてないんだって。
オスは大変なんだなぁ。おれも昔はいろいろがんばったものよ…。
はいはい…。ほら、あそこにモテそうなオスがいるよ。
なるほど、あのオナガガモのオスは衣替えが進んでますね。でも尾羽(おばね)がのびてないから、まだダンスには早そうです。
ええっ、オスはダンスまでするんですか?
派手な衣装に衣替えが済んだら、その衣装をより目立たせるようなしぐさをしてメスに求愛(きゅうあい)するんですよ。
う〜ん、着飾(きかざ)ってダンスまでしなくてはならないとは、こりゃ大変だ。

カルガモの写真   オナガガモの写真   オナガガモの写真
カルガモ
他のカモと違ってオスも1年中地味でメスとほとんど見分けがつきません。くちばしの先の黄色のほか、三列風切羽(さんれつかざきりばね)の白い三日月模様も特徴です。北海道では冬に少なくなり、南西諸島では逆に増えるようなので、移動しているものもいるようです。(T)
寝ているオナガガモたち
夜行性のカモたちは昼は寝ていることが多いのですが、みんなでグウグウ眠っているわけではありません。くちばしや足を羽に入れるのが基本姿勢ですが、そんな格好でもまぶたを閉じていないものもいます。(I)
水浴びするオナガガモのメス
背中に水をかけた後、羽ばたいて水をきってから羽づくろいに入るのが基本パターンです。時には、水面ででんぐり返しをすることもあります。(T)
ヒドリガモのオスの写真   コガモの写真   ホシハジロのオスの写真
羽づくろいをするヒドリガモのオス
羽づくろいでは、くちばしで腰の上にある脂腺(しせん)から脂をぬって、羽毛の防水機能を高めます。さて、どこから順に羽づくろいをするでしょうか? 多くは翼の羽を先に手入れしてから、体の羽に移るようです。天敵に囲まれた自然界では、いつでも飛べる体勢でいる必要があるのかもしれません。このヒドリガモのオスは渡って来たばかりで地味な色をしています。(I)
頭かきをするコガモのオス
くちばしの届かない部分の羽は、足を使って手入れします。 スズメなどの小鳥は「翼ごし頭かき(または間接頭かき)」と呼ばれ、下げた翼の上に足を出しますが、カモたちは直接足をあげるかき方(直接頭かき)をします。 よく潜るカモは水面で、あまり潜らないカモは水際に立ってやることが多いようです。(T)
ホシハジロのオス
よく潜るカモの仲間で、オスはルビーのようなきれいな目をしています。あまり潜らないカモと違って、水面ではお尻が沈んで見えます。(I)

向こうにはキンクロやホシハジロがいますよ。
よく潜(もぐ)るカモの仲間がいるそうですから、少し移動しましょうか。
おい、キンクロって何だい?
キンクロハジロっていう鳥のこと。オナガガモみたいに普段潜らないグループと別に、水に潜ってお食事するグループがいて、キンクロハジロは潜るグループのカモなのよ。お父さん、あっちまで行かなくても、そこでお昼寝(ひるね)してるカモたちを見てても楽しいよ。
ほんとだ、寝てるのもいる。バシャバシャしてるのは何やってんだ?
水浴びよ。
水の中にいるくせに、わざわざ水浴びするのか。
キンクロハジロのオスの写真
キンクロハジロのオス
オスメスともに黄色い目をしています。オスは後頭部の冠羽(かんう)がおしゃれですが、「寝ぐせ頭」とたとえる人もいます。よく潜るカモの仲間は水面で滑走(かっそう)しないと飛び立て ませんが、水面での動作は巧みで浮(う)いたままで羽づくろいや頭かき、のびなどをよく行います。 (I)
鳥は羽の手入れを欠かさないんだって。羽づくろい、脂(あぶら)ぬり…。他にも頭かいたり、あくびしたり、のびしたりいろんな行動が見られるわよ。
あっちにユリカモメが飛んでますよ。
あー、いっぱい飛んでる白いのがそうか。
カモメの仲間もほとんどが冬鳥なんですよ。
いろんな鳥が渡って来てるんですね。あなたも探鳥会によく参加されるんですか?
実は早起きが苦手なんで、春夏はあまり…。春夏は小鳥がさえずる早い時間に始まる探鳥会が多いんですが、冬は昼間でも鳥をじっくり見られてうれしいです。
いや、ほっとしました。私も早起きはだめなんです。

探鳥会へ行こう!

いや〜、いろんな鳥がいるもんだな。
いろんな人もいるもんでしょ?
探鳥会には鳥に詳しい人だけが参加するのかと思ったら、そうでもないんだな。のんびりしてる人もいるし。
リーダーさん以外にも鳥に詳しくて親切に教えてくれる人もいるけど、初心者も多いみたい。それに、いろんな鳥を見るよりも自然の中を歩くことが好きな人、植物に興味がある人、鳥仲間とのおしゃべりを楽しむ人、探鳥会に参加する人の目的もいろいろなのよ。
そうみたいだね。リーダーさんとみなさんのおかげで、とても楽しかったよ。ひなこ、来週も行こう。
イラストら、来週? 私はデートが…。あ、いえいえ。
来週は残念ながら、私たちの支部では探鳥会はやっていません。でも、全国の日本野鳥の会の支部では、各地で探鳥会をやっていますよ。お一人でも気軽にご参加できます。支部や探鳥会によって、また、担当するリーダーさんによっても様々ですから、いろいろなところに参加して、ご自身にあった探鳥会やお仲間を探すのもまた楽しいですよ。
そうそう、ほら、他にもいろんな探鳥会があるから! ねっ、だから一人で行って来て!

※1 カラの混群  
同じ種で群れるのが一般的(いっぱんてき)だが、秋冬はシジュウカラ科の鳥(シジュウカラ、ヒガラ、ヤマガラなど)を中心に、エナガ、ゴジュウカラ、コゲラなども混じってともに行動することがあり、カラの混群と呼ばれる。(▲戻る

※2 ハクセキレイの集団ねぐら 
ハクセキレイは秋冬は群れることなく単独で過ごすが、夜は集団でねぐらに入る。近年駅前の街路樹(がいろじゅ)、ビルなどの建造物の隙間(すきま)など、人目につく場所をねぐらに選ぶことがふえてきた。(▲戻る


初心者も楽しいバードウォッチング・ウィーク
お父さんも初めての探鳥会に大満足の様子ですね。初心者でも身近な環境で気軽にバードウォッチングを楽しめるのが秋冬です。この時期に自然の素晴らしさを多くの方々に知っていただきたいと、本会では「バードウォッチング・ウィーク」(11月1〜7日)を提唱してきました。
 秋冬に野鳥を見る良さを、もう一度おさらいしてみましょう。
1.水辺にはカモメやカモなど大きな鳥が群れでいるため、観察しやすい
2.葉が落ちて、野鳥の姿が見やすい
3.子育ての終わっている頃なので、観察が野鳥に与える影響は少ない
4.冬を日本で越す渡り鳥に加え、山から低地に下りてくる鳥もいるので、公園など身近な環境で見られる種や数が増える
 これからの探鳥会はバードウォッチングの入門に最適です。「支部ホットライン」をご覧のうえ、ぜひご参加ください。
(編集)

※探鳥会とは、バードウォッチングを楽しむ会のことです。1934年、本会の創立とともに始まりました。「探鳥」という言葉は本会創設者の中西悟堂が初めて使った言葉と言われています。現在、全国の日本野鳥の会の支部が休日を中心に各地で探鳥会を催しています。

注)「ひなこのお散歩鳥講座」は、野鳥が大好きな高校生、ひなこさんがベテランバードウォッチャーにいろいろ教えてもらいながら、身近な公園でバードウォッチングを楽しむという設定で本誌上で連載している企画です。今回の特別篇は、いくつかの支部の探鳥会への取材をもとに構成したフィクションです。


企画・文/安西英明(あんざいひであき)・ 法月稚津余(のりづきちづよ)(普及室)
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