どんな楽しみがあるの?
何が必要なの?
どうやったら見られるの?
野鳥から教わることって?
探鳥会に参加する
サンクチュアリや探鳥地に出かける
近所に出かける
教えて安西さん
ひなこのお散歩鳥講座
野鳥識別ノート
やさしいきもち
HOME
>
楽しみ方のヒント
>
ひなこのお散歩鳥講座
> ひなこのお散歩鳥講座 各回
野鳥のラブソングや求愛給餌が始まり、ペアも目につくようになる3月、人の世界も卒業など節目の季節でもあります。8年続いたこの連載も今回で最終回、これまでおつき合いいただきありがとうございました。
鳥は吸えない?
イラスト/小島早恵
ひなこ(以下ひ)
見て見て、メジロよ。ツバキの花の蜜を吸いに来てる。
安西(以下安)
実は、メジロやヒヨドリに来てもらうのは、ツバキの作戦なんだ。
ひ
作戦? 蜜をあげるかわりに花粉を運んでもらうわけ?
安
その通り。生産者(植物)は、消費者(動物)に食べられる一方で、受粉やタネの散布を手伝ってもらってるんだ。
ひ
木の実を丸飲みした鳥がタネをフンで運ぶのはわかるけど、花粉を運ぶのは虫の役割じゃないの?
安
日本では虫が受粉する花が多いけど、熱帯では鳥が受粉する花も多い。つまり、花を訪れる鳥もたくさんいることになる。
ひ
日本は甘党の鳥が少ないのかしら?
安
1年中花が咲いてる地域では、蜜を餌にして受粉役になる動物も多いと考えられる。ところで、正確に言うと、メジロたちは蜜を吸ってるんじゃないんだよ。
ひ
メジロの舌は先がブラシみたいになってるって、聞いたことがあるけど…。
安
その舌で蜜を絡めとって、口の中に運んでるんだ。
ひ
鳥は吸えないってこと?
安
吸い込むという行為は、赤ちゃんがお乳を吸うために発達させたほ乳類の得意技なんだ。
ひ
鳥が水を飲むたびに上を向くのは警戒のためだけじゃなくて、流し込んでるわけね。
(*1)
鳥は大食い?
安
鳥類とほ乳類の共通点は前に話した
(*2)
から、今度は違いを考えてみよう。
ひ
鳥はは虫類のうろこを羽に変え、ほ乳類は毛に変えたって言えるんでしょ。それに、鳥では前足は翼になってるわ。
安
そのほか、飛ぶために体を軽く保たなくてはならないから、鳥はけものと違って「骨が軽い」「歯がない」「消化器官が長くない」。
ひ
鳥は消化が早いから、しょっちゅう食べてフンをするのね。それで実を丸飲みした鳥がタネをフンで出すのはわかるけど、中には太いくちばしでタネを割って食べる鳥もいるよ。
安
タネを食べる鳥もいるけど、ほ乳類と違って葉っぱを食べる鳥は少ない。空を飛ぶような活発な活動のためには、主食は栄養価が高い必要があるし、短い消化器官では繊維質を分解できない。
ひ
ヒヨドリが時々葉っぱを食べるのは例外なの?
安
そう、虫などが少ない時期に限られてるはず。僕たちほ乳類は、長い消化器官と腸内細菌のお陰で繊維質を分解できるんだ。
律儀なオスや子沢山のワケ
(1) ほ乳類のようには吸えない。
(2) 羽に覆われ、前足は翼になっている。
(3) 重い歯はなく、軽いくちばしがある。
(4) 骨は軽い(含気性と呼ばれ、中が詰まっていない)。
(5) 消化器官は長くない(ウンチもオシッコも一緒で、早く出す)。
(6) 葉はあまり食べない。
(7) 卵を産む。
そのほか飛翔に関係して、発達した胸筋、気嚢をもった呼吸系などさまざまな違いがある。
イラスト/加藤明子
安
は虫類から進化してほ乳類は赤ちゃんをお乳で育てるようになったけど、鳥がそうならなかったのも飛ぶことと関係してるらしい。
ひ
なるほど、赤ちゃんが体内にいると重くなっちゃうわ。
安
しかもまとめて産むと重くなる。だから、小さい卵を1日1個ずつ産んで、小さなヒナに栄養価の高いエサをたくさん運ばなくてはならない。
ひ
お父さんが子育てを手伝うのも、飛ぶことに関係してたのか。
安
スズメが2週間でヒナを巣立たせるまで、4200回も虫を運んだって話を覚えてる? お乳が出ないメス1羽にはパートナーが必要なんだ。
ひ
短期集中の子育てを毎年繰り返すのも、鳥の特徴って言える?
安
いやいや、生きのびるのが当たり前でない自然の世界では、ほ乳類でも子育ては時間をかけずに繰り返すのが多い。
ひ
野生では危険や天敵に囲まれていて、毎日が命がけなんだったね。春にたくさんのヒナが生まれても、生きのびるのは少ないって話を思い出したわ。
安
そのかわりひと冬を越せたら、春には親になって繁殖できる。子沢山や早い成長は、生存率が低い中での戦略と言える。
ひ
生きのびるのは一部だけという自然の原則からは、私たち人間が例外になるのね。
安
僕たちが出会う野鳥は生きのびた一部で、その1羽の野鳥もたくさんの小動物、その餌となる生産者、つまり植物に支えられてるんだ。
ひ
さっきのメジロにも親鳥や兄弟たちのドラマがあったんだろうね。
安
いろいろなつながりの中で生きていることは、僕たち人間も例外ではないね。
ひ
なんだか自分が今生きてるってことを改めて考えちゃうわ。野鳥の世界っておもしろくって、ためにもなるのね。それでは、皆さんにもすてきな出会いや発見がありますように。
企画・文/安西英明(普及室)
(*1)
ハト類やキンカチョウなどは、例外として下を向いたまま水を飲むことができる。
戻る↑
(*2)
他の生物を食べて栄養を得る消費者であるほか、脊椎動物、恒温動物、学習能力に優れ、子育てをするなど。
戻る↑