オスはうらやましい?かわいそう?
安西(以下安)今日は「おいしいお店を教えてくれる」って言ってたけど、へえ、お友達と一緒なんだ。 ひ安西さんとわたしで鳥を案内してから、お店はみなこに案内してもらうの。ほら、みなこ、あれがオナガガモで、あっちがキンクロハジロ。 みへぇー、ずいぶんきれいなのもいるのね。 ひカモは冬に結婚するから、オスの衣替えが進んできれいになってきてるの。 みじゃあ、このきたないのがメス? ひきたない? そうじゃなくて地味なの! みわかった、わかった。安西さん、どうしてメスの方が地味なの? 安卵を温めたり子育てを担当するメスは、目立たない方がいいと考えられてるんだ。 みじゃあ、オスは子育てしないわけ? ひ鳥の多くはオスも子育てに参加するけど、カモは違うみたいよ。 安近い仲間のガンやハクチョウは夫婦で子育てするんだけどね。 みカモのオスはずるいのね。 ひでもオスは派手じゃないとメスに選んでもらえないのよ。だから、衣替えをしたりダンスをして一生懸命に求愛するんだって。うちのお父さんなんか、オスに同情してたよ。 安日々危険や天敵に囲まれている野生の世界では、生き残ること自体が大変なことなんだ。派手になって目立つことにはリスクもあるんだよ。 交尾の不思議
みねぇ、あそこのカモ、頭が緑に光ってるわ。 ひあれはマガモのオス。 みじゃあ、その横の地味なのがマガモのメス? ひそうだと思うけど…オスが派手にならないカルガモは、マガモのメスに似てるからなあ。 安白い三日月模様がないからカルガモじゃないよ。 ひじゃあ、あのマガモはもうペアになってるのかしら。 安マガモやオシドリはほかのカモより、オスの衣替えも結婚も早いみたいだからね。 みあれ、2羽がお辞儀し合ってる。 ひほんと、何してるのかしら? あれれ、オスがメスに乗っちゃった。交尾だわ。 み大変、メスがおぼれてる! ひあの「翼ばしゃばしゃ」は水浴びなのよ。 安2羽でお辞儀し合って、メスがOKしたら交尾。その後、水浴びしてから羽ばたいて水を切る。見ててごらん。次に水面で羽をばたばたさせるから。 みあっ、ホントに羽ばたいた。 ひでも、今ごろ交尾してもいいの? 卵を産むのは春でしょ? 安カモでは秋から交尾のような行動が見られることがある。よくわかっていないけど産卵には直接結びつかないはずだから、周りにペアの誕生を知らせるとか、お互いの絆を深めるとか、何か意味があるんだと思うよ。
赤ちゃん発見?
みあっ、カモの赤ちゃんがいる! ひえーっ、秋にヒナがいるはずはないんだけど…。 みほら、あそこのカモの間にちっちゃいのが。アレッ、もぐっちゃった。 ひあぁ、あれはカイツブリ。ちょっと待って。双眼鏡を貸してあげるからくちばしを見て。カモと違ってとんがってるのよ。 みあっ、あんなとこに出てきた。双眼鏡がなくても、小さくて首ふってるのがわかるわ。かわいいな。 安ひなこちゃん、双眼鏡を貸してあげてもすぐには使いこなせないよ。望遠鏡の視野に入れて見せてあげようか。みなこちゃん、はい、どうぞ。 ひカイツブリってアップで見ると目つきがきついよね。 安うーん、それは、経験者のひなこちゃんだから思うことなのかもしれないよ。経験者は細かいところまで注目するけど、初体験の人にはぱっと見た第一印象が大きいみたいだね。 ひそういえばそうね。わたし、ハシビロガモっていやらしい目つきで好きじゃないけど、お父さんに見せたら、ビューティフルって感動してたもの。 安知識や経験が増えると、感動や感性が薄れることがある。僕たちベテランは案内役になることで、新鮮な感覚や人それぞれの感動の仕方に改めて気づかされたり、逆に教えてもらうこともあるんだ。 ひなるほど。私も初めてカイツブリやマガモを知った時にはうれしかったな。ね、みなこ、今度はおいしいお店を教えてもらいたいんだけど…。 みわー、すごいすごい。 ひ…みなこ、はまっちゃったみたいね。
企画・文/安西英明・中村聡(普及室) 注)NOTE61からバードウォッチング案内人研修会のテキスト第3章「バードウォッチングの基礎」に関連して、野鳥の見方、楽しみ方についてのお話です。