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バードウォッチングを始めよう

 
ひなこのお散歩鳥講座
イラスト
11月といえばバードウォッチング・ウィーク。姿を見つけやすい冬鳥たちもぞくぞくと渡ってきています。次の日曜日に友達の「みなこちゃん」を誘って、衣替えが進むカモたちを見に行くことにしました。

朝寝坊でも大丈夫

イラストイラスト/小島早恵
ひなこ(以下ひ)今度の日曜日にカモを見に行かない?
みなこ(以下み)カモ? 見てどうすんの?
見てどうすんのって、楽しいバードウォッチングよ。
バードウォッチングって、あなたどこまで行く気?
つばさ公園。
あんな近いとこにカモなんかいるの?
この時期はね、公園の池にはシベリア方面からカモたちが渡ってきてるの。
ふーん。でも、わたし、朝早いの嫌いだし、そんなに目がよくないから…。
特別に目がいい必要はないの。朝寝坊でも大丈夫。じゃあ、こうしましょ。11時に公園の入り口で待ち合わせして、少しカモを見てから一緒にランチってどう?
うーん。なら、いいわ。近くにおいしいお店ができたらしいから…。

オスはうらやましい?かわいそう?

安西(以下安)今日は「おいしいお店を教えてくれる」って言ってたけど、へえ、お友達と一緒なんだ。
安西さんとわたしで鳥を案内してから、お店はみなこに案内してもらうの。ほら、みなこ、あれがオナガガモで、あっちがキンクロハジロ。
へぇー、ずいぶんきれいなのもいるのね。
カモは冬に結婚するから、オスの衣替えが進んできれいになってきてるの。
じゃあ、このきたないのがメス?
きたない? そうじゃなくて地味なの! 
わかった、わかった。安西さん、どうしてメスの方が地味なの?
卵を温めたり子育てを担当するメスは、目立たない方がいいと考えられてるんだ。
じゃあ、オスは子育てしないわけ?
鳥の多くはオスも子育てに参加するけど、カモは違うみたいよ。
近い仲間のガンやハクチョウは夫婦で子育てするんだけどね。
カモのオスはずるいのね。
でもオスは派手じゃないとメスに選んでもらえないのよ。だから、衣替えをしたりダンスをして一生懸命に求愛するんだって。うちのお父さんなんか、オスに同情してたよ。
日々危険や天敵に囲まれている野生の世界では、生き残ること自体が大変なことなんだ。派手になって目立つことにはリスクもあるんだよ。

交尾の不思議

イラスト
1.互いに向き合い、首を上下に伸ばしたり縮めたりする
イラスト
2.メスが低い姿勢をとると、オスがメスの背中に乗って交尾する。メスの体は沈み、オスはメスの頭をくわえる
イラスト
3.交尾が終わるとオスは首を前に伸ばしてメスの周りを一周する。メスは水をかぶってから羽ばたく
イラスト/加藤明子

ねぇ、あそこのカモ、頭が緑に光ってるわ。
あれはマガモのオス。
じゃあ、その横の地味なのがマガモのメス?
そうだと思うけど…オスが派手にならないカルガモは、マガモのメスに似てるからなあ。
白い三日月模様がないからカルガモじゃないよ。
じゃあ、あのマガモはもうペアになってるのかしら。
マガモやオシドリはほかのカモより、オスの衣替えも結婚も早いみたいだからね。
あれ、2羽がお辞儀し合ってる。
ほんと、何してるのかしら? あれれ、オスがメスに乗っちゃった。交尾だわ。
大変、メスがおぼれてる!
あの「翼ばしゃばしゃ」は水浴びなのよ。
2羽でお辞儀し合って、メスがOKしたら交尾。その後、水浴びしてから羽ばたいて水を切る。見ててごらん。次に水面で羽をばたばたさせるから。
あっ、ホントに羽ばたいた。
でも、今ごろ交尾してもいいの? 卵を産むのは春でしょ?
カモでは秋から交尾のような行動が見られることがある。よくわかっていないけど産卵には直接結びつかないはずだから、周りにペアの誕生を知らせるとか、お互いの絆を深めるとか、何か意味があるんだと思うよ。

赤ちゃん発見?

あっ、カモの赤ちゃんがいる!
えーっ、秋にヒナがいるはずはないんだけど…。
ほら、あそこのカモの間にちっちゃいのが。アレッ、もぐっちゃった。
あぁ、あれはカイツブリ。ちょっと待って。双眼鏡を貸してあげるからくちばしを見て。カモと違ってとんがってるのよ。
あっ、あんなとこに出てきた。双眼鏡がなくても、小さくて首ふってるのがわかるわ。かわいいな。
ひなこちゃん、双眼鏡を貸してあげてもすぐには使いこなせないよ。望遠鏡の視野に入れて見せてあげようか。みなこちゃん、はい、どうぞ。
カイツブリってアップで見ると目つきがきついよね。
うーん、それは、経験者のひなこちゃんだから思うことなのかもしれないよ。経験者は細かいところまで注目するけど、初体験の人にはぱっと見た第一印象が大きいみたいだね。
そういえばそうね。わたし、ハシビロガモっていやらしい目つきで好きじゃないけど、お父さんに見せたら、ビューティフルって感動してたもの。
知識や経験が増えると、感動や感性が薄れることがある。僕たちベテランは案内役になることで、新鮮な感覚や人それぞれの感動の仕方に改めて気づかされたり、逆に教えてもらうこともあるんだ。
なるほど。私も初めてカイツブリやマガモを知った時にはうれしかったな。ね、みなこ、今度はおいしいお店を教えてもらいたいんだけど…。
わー、すごいすごい。
…みなこ、はまっちゃったみたいね。

企画・文/安西英明・中村聡(普及室)

注)NOTE61からバードウォッチング案内人研修会のテキスト第3章「バードウォッチングの基礎」に関連して、野鳥の見方、楽しみ方についてのお話です。

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