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バードウォッチングを始めよう

 
ひなこのお散歩鳥講座
NOTE65 8月 じっくり見るとおもしろい!
多くの野鳥は、夏の終わりまでに子育てを終えます。ペアやファミリーの関係が解消し、なわばりを宣言する美しいさえずりは聞かれなくなります。また、羽が抜け替わる時期と暑さとが重なって活動的ではなくなるそうです。じゃあ、ウォッチングするのに8月はつまらないの?

子育てが終わる頃

ひなこの頭に鳥がフンを落としてしょげている。安西さんは困った顔をしているイラスト
イラスト/小島早恵
ひなこ(以下ひ)ねえねえ、あそこに何羽かスズメたちが集まってるよ。もう子育てが終わったのかな。
安西(以下安)子育てが終わると群れになる鳥が多いけど、スズメの場合は8月でも繰り返して子育てに励むペアもいる。あれはひとり立ちした子どもたちじゃないかな?
どれもほっぺとあごの斑が真っ黒だから子どもではないと思うけど…。
5月に巣立った子どもだと、今は黒い斑が濃くなって成鳥と見分けにくくなってる。だけど、あのスズメたちはくちばしの付け根が黄色じゃなくて黒いから、確かに成鳥のようだね。
そういえば「この時期に同じ場所で見られるのは、ほとんどがペアか家族」って聞いて注意してたけど、スズメやムクドリはそうじゃないのも同じところにいるよね。
スズメやムクドリは巣の回りしか防衛しない、なわばりが狭いタイプだから、違うペアや家族、それに子育て失敗組とかが接近した場所にいて、群れているように見えることも多いんだよ。もてないオスとか相方を失ったメスとかが一緒に見られるってこともあると思う。
シジュウカラの集団は見たところ、どれも家族だったと思うけどな。スズメやムクドリとはどう違うのかしら?
スズメやムクドリのなわばりは狭いけど、シジュウカラは採食する生活圏までを広くなわばりとして防衛してるんだよ。
そうか。つまり、ある範囲にはある家族しかいないってことね。
だからたとえ子育て失敗組なんかがいても、広い範囲に分散していて、目立つようなことがないんじゃないかな。シジュウカラみたいにお父さんがなわばり宣言としてよくさえずる小鳥には、そのパターンが多いと思うよ。

8月はリーダー泣かせ?

シジュウカラのさえずりもだんだん聞かれなくなってきたね。
これからはペアや家族の関係とともに、なわばりもなくなるからね。それに羽が抜け替わるのも子育て終了の目安になるんだ。
それそれ。この間、探鳥会のリーダーさんが、「鳥の少ない夏休みに子ども相手のバードウォッチングを頼まれて困ってる」っていうから、「“落ちてる羽根探し”をやったら子どもは喜ぶんじゃない?」って教えてあげたんだ。
8月は干潟ならシギたちでにぎわうけど、野山や身近な所では鳥は目立たないし、種は少ないし、珍しい鳥には早いからね。(※)
探鳥会のリーダーさんにとっては、案内しづらい「魔の8月」なんだって。
初心者にとっては、鳥が少ない方が見分けやすいと思うんだけど…。
たくさん覚えようとするとみんな忘れちゃうから、欲張らない方がいいって話でしょ。でも、いっぱい見られた方が楽しいのは確かよ。
だけどたくさん見られる時期じゃないからこそ、じっくり見ることをお勧めしたいな。
例えば、どんなこと?
暑い時に口をあけてないかとか、水浴びはどうやってするかとか、いろんな観察ポイントを教えてあげたよね。幼鳥だったら親鳥から独立してるか、声変わりしてるか、成鳥と行動に違いはないかとかもね。ほかには…あっ、スズメたちが電線にとまったから見ててごらん。今にフンをするよ。

用の足し方さまざま
コゲラとコサギが用を足すときの様子
イラスト/加藤明子

あっ、ホントにフンをした。なんでわかったの?
なんでかは後回し。フンをする時どうしたか、見てた?
ちょっとお尻をあげたみたいだったよ。
そう、鳥がフンをする時は、お尻や尾羽をあげることが多いはずなんだ。尾羽にひっかかると困るでしょ。そこで問題、キツツキの仲間は尾羽で体を支えて幹にとまっています。さて、用を足す時は、どうするでしょう?
えー!? そのままフンをしたら尾羽にかかっちゃうわね。コゲラは何度も見てるけど、フンをするところねえ…。
僕はアカゲラで観察したんだけど、フンをした瞬間に尾羽をあげたり、体を幹に対して横向きにしてフンをしたりしてたよ。
へぇー、尾羽にひっかけないために学習するのかしら?
学習するのか、本能的にそうするのかは、幼鳥がどうするかを見てないからわかんないなぁ。
子どもがフンをする時に、最初から尾羽をあげたり、横向きにしてたりしたら本能的な行動って考えられるわけね。
そうそう。まだ幼鳥が見分けられるこの時期ならではの観察ポイントだね。さてもうひとつ問題、サギなど長いあしを伸ばして飛んでいる鳥が、飛行中にフンをする時はどうするでしょう?
えー!? あしにフンがひっかからないようにしてるのかしら?
ふふーん。答えは…自分で観察してもらうことにするよ。ところで、さっきスズメを見てた時、フンをするのがなぜ事前にわかったのか、聞いてたよね。『新・山野の鳥』の「はじめに」を読んでごらん。
…「鳥は、飛ぶために多くのエネルギーを必要とする一方、軽い体を保つ必要から、よく食べ、よく出す生き物です」だって。つまりしょっちゅう食べたりフンをしてるわけね。

企画・文/安西英明・中村聡(普及室)

※1:身近な場所で珍しい野鳥と出合うチャンスは、渡りの季節である春と秋に多い

注)NOTE61からバードウォッチング案内人研修会のテキスト第3章「バードウォッチングの基礎」に関連して、野鳥の見方、楽しみ方についてのお話です。

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