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バードウォッチングを始めよう

 
ひなこのお散歩鳥講座
NOTE58 1月 滑空のしかた−逆への字の不思議
あけましておめでとうございます。一富士・二鷹・三なすびと言いますが、今日はタカが見られるといいな。ところで、身近にもタカのように滑空する鳥がいるって知ってました? 今日は飛んでいる鳥に注目です。

羽音を楽しむ

イラスト
イラスト/小島早恵
ひなこ(以下ひ)カモたちが飛びまわってるわね。
安西(以下安)さっきいっせいに飛び立ったから、タカが近くを飛んだのかもしれない。冬はカモをねらって、公園にもタカの仲間が来ることがあるから。
えーっ! タカが来たんだったら見たかったなぁ。カモってすごいわね。
人よりカモたちの方がタカには敏感だから。
気づかなければ捕まって食べられちゃうもんね。
カモたちがこっちに向かって飛んでくるから、羽音を聞いていてごらん。
羽音?

ほら、キンキンキンって聞こえたでしょ。
私には、ピンピンって聞こえたけど、バードウォッチングでは声のほかに音も楽しむこともあるんだね。
体重が重いガンの仲間ではギッギッ、さらにヘビー級のハクチョウになるとギシギシとより重そうな羽音がするんだ。
へぇー、重い体を飛ばす翼の力ってすごいんだね。そういえば探鳥会でキジの羽音におどろかされたことがあったわ。
キジの仲間は体重があるわりに翼が短いからね。舞いあがる時のバタバタという大きな音で、瞬発力の強さがわかるでしょ。
小さい鳥でも羽音は聞こえるのかしら?
静かな冬は、小鳥でも注意してると「プルルー」っていう羽音が聞こえることがある。10グラム前後のヒガラや、5グラムのキクイタダキの羽音が聞こえた時は感動したな。
ちっちゃくても、ちゃんと翼を羽ばたかせて飛んでいるんだね。私も今度、たっぷり着こんで羽音を聞きに行ってみようかな。
公園の池のカモの場合は夕暮れにお食事に出かけることが多いから、夕方飛び立つのを待つのもいいよ。

翼は水平? 逆への字?

あっ、あれはタカ?
残念でした、あれはキジバトのディスプレイフライト。ほら、カモたちはぜんぜん警戒していないよ。
うーん、またカモたちに負けちゃったわ。でも、ディスプレイフライトって、冬でも見られるの?
本州以南のキジバトは冬でも繁殖することがあるから、今やっていてもおかしくない。
そっか、ハトは虫じゃなくてタネで子育てしちゃうんだったね。それにしても、鳥たちは危険な相手をどうやって見分けてるのかしら?
同じタカ科の鳥でもあまり狩りをしないトビに対しては警戒しないことが多いから、どっかで危険度を判断しているようだけど、以前キジバトの滑空に対してシジュウカラが警戒の声をあげていたのを見たことがあるから、ときどき間違えちゃうこともあるみたいだよ。
滑空っていえば、バードウォッチング検定に「滑空する時、翼の先が胴体より上がった格好になる鳥はどれですか?」って問題が出てたけど、答えはドバトでバッチリだったわ。
滑空していることが多いワシやタカを見分けるにも役立つポイントなんだよ。
このあいだの探鳥会では、ノスリは翼がVの字になるって聞いたけど…。
Vほど極端ではないから、僕は「逆への字」って伝えているよ。案内人としてはわかりやすい例えを追求していきたいよね。
「V」でも「逆への字」でもいいんだけど、どうして翼の両端が上がるのかしら?
チュウヒ、イヌワシ、カンムリワシも「逆への字」で滑空する。ゆっくり飛びながら地上の獲物を探す点が同じなんじゃないかな。
トビもゆっくり飛ぶけど、翼は水平だよね?
だんだんひなこちゃんもつっこみが厳しくなってきたな。やっぱり一慨には言えないね。
きっと種ごとにいろんな事情があるのよね。
改めて考えてみると、翼の形についても「逆への字」のワシやタカでは先がとがっていないけど、ドバトではとがって見えるしなぁ。
ドバトはゆっくり飛ぶ必要なんてあるの?
外国で野生のカワラバトの繁殖地を見たことがあるんだけど、大きながけに大きなくぼみがあってね。そのくぼみの内側に巣があるらしくて、くぼみの中を何羽か滑空してたんだ。その時、逆への字でゆっくり滑空するのが適しているんだなと思った。
そういえばドバトは、よくビルの間とか橋や高速道路の下なんかで滑空してるね。
建造物のすきまに巣を作るからさ。
ご先祖さまの習性で木には作らないんだね。ドバトにはがけの代わりが建物だとしても、せまい空間を飛ぶにはゆっくりした滑空が合ってるってことかなぁ。
「逆への字」で滑空する理由はちゃんと調べられてはいないし、どうしてそうなるのかは飛行力学の分野での検討も必要だけど、こんなふうにワケを考えたり、想像してみるのもバードウォッチングの楽しみだよね。

イラスト
イラスト/加藤明子
滑空時の翼
キジバト(右)のように水平に保たれるのが普通だが、カワラバト(中)やタカ科の鳥の一部(左:ノスリ)では翼の両端が上がる。

※1 ディスプレイフライト キジバトの場合は、オスが巣のまわりをタカのように滑空して飛ぶこと。なわばり宣言のような意味があるらしい
※2 滑空 翼を羽ばたかせないで飛ぶこと
※3 ドバトは飼鳥として改良したカワラバトが野生化したもので、種名としてはカワラバトになる


企画・文/安西英明・法月稚津余(普及室)
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