2度目の子育て
安シジュウカラでは、一度ヒナが巣立つとオスはあまりさえずらなくなるって話したことがあったよね。 ひ10羽近い子どもを連れて大忙しになるころね。 安だけど1か月前後で子どもの面倒を見なくなって、メスが2度目の産卵・抱卵に入るペアがいるんだ。 そうしたらまたオスはさえずり始める。 ひそういえばスズメで、近所で2度目らしい子連れを見たわ。 安スズメでは、ヒナが巣立って半月ほどで親鳥は世話をしなくなるようだから、6月に2度目の巣立ちが始まっていてふしぎはないよ。 ひじゃあ、5月に巣立った子どもは、もう自立してるころなのね。 安ただし、餌となる虫がたくさんいなくては子育てが進まないわけだから、植物の育ち具合や虫の発生によると思う。 ひじゃあ、春が遅い北国では、今ごろ1回目の巣立ちぐらいかしら? 安高い山でもそんなペースだと思うよ。 ひ逆に、暖かい地域なら子育ての進行が早いのかしら。 安そうだね。早いスズメでは、3回目の子育てなんてペアがいるかもしれない。 ひ3回も!? 安う〜ん、スズメの繁殖サイクルなら可能なんじゃないかな。よい営巣環境、豊富な餌、熟練したペアなどの条件が必要だろうけど。 ひ熟練したペアってどういうこと? 安これもきちんと調べられてはいないけど、例えば昨年生まれた若いオスとメスがペアになった場合よりも、一度子育てを成功させたオスメスが組んだ場合の方が、学習や経験によって子育てがうまいはずだよ。
成功の条件 ひ子育てには失敗も多いっていうのは、うまいペアが少ないってこと? 安うまいペアだって成功するとは限らないけどね。野生では生きのびることさえ決して当たり前ではないから。 ひ「生きのびたらラッキー」っていうくらいなのよね。でも、だからこそ特定の種が増えすぎることがなくて、いろんな種が共存できるようになっているんでしょ。 安一方で減りすぎても困るから子だくさんだし、短期集中の子育てなんだ。 ひ自分が生き残ることさえ大変な世界だから、子どもの世話に時間をかけられないってことよね。 安僕たちが出会うのはひと冬を生きのびた一部なんだけど、それでもつがい形成、つまりペアまでたどりつける保証はない。 ひもてないオスもいるんだよね。 安多くの鳥では選択権はメスにあるから、さえずりでアピールする種ではさえずりがヘタなオス、姿でアピールする種ではきれいでないオスは選ばれない。あるいは、いいなわばりや営巣候補地を確保できなかったオスも選ばれないことになる。オスは大変なんだよ。 ひあら、メスだって、いいパートナーを選ばなくちゃいけないから大変なのよ。 安それもそうだ。巣作り、交尾、なわばり防衛、産卵、抱卵、巣内の子育て、巣立ち、巣立ち後の世話など、それぞれの段階で危険がいっぱいだから、雌雄の役割は種によって違いがあるけど、互いによいパートナーに恵まれなければ子孫を残せないだろうね。 ひここのペアとさっきのペアは、よきパートナーに恵まれた熟練夫婦ね、きっと。 企画・文/安西英明・法月稚津余(普及室)