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草木の緑が濃くなってきました。いよいよ鳥たちの親子連れが見られる季節ですが、皆さんはもう出会えましたか? 一方で、今ごろ渡ってくる夏鳥もいるんですって。子育てには間に合うのかな?
遅い渡りのワケ
ひなこ(以下ひ)
:昨日の夜、友達が自分の家でホトトギスの声を聞いたんだって!
安西(以下安)
:5月中旬から6月初旬はホトトギスが北上するころなんだ。街を通過していく時に飛びながら鳴くことがあるからね。
ひ
この公園も通ってくれないかしら。
安
渡りをするのは主に夜だからなぁ。今、聞こえる可能性があるのは、メボソムシクイだ。渡り途中にひと休みしている緑地でさえずることがあるんだよ。
ひ
メボソくんは子育てする高山で葉が出るころに来るから、今が北上の時期なのよね。でもホトトギスったら、今ごろ登場なんて渡ってくるのが遅くない? シジュウカラなんて、もう巣立ちビナを連れているころなのに。
安
卵を他の鳥に預けるっていう習性は関係してないかな? カッコウも渡ってくるのは遅い方なんだよ。
ひ
そうか、どっちも自分で巣を作る手間がない鳥だもんね。
安
それに、2種とも大きな毛虫を好むようだから、渡りが遅いのは食生活も関係しているかもしれない。
ひ
なるほど、毛虫が十分に育ったころ渡ってくるってことね。
安
ただ、同じカッコウの仲間で、子育てが他人まかせで、大きな毛虫が好きらしいってことで共通してるツツドリは4月に渡ってくるんだ。
ひ
どうしてツツドリだけ早いのかしら。越冬地が近いとか?
安
越冬地については、夏鳥の多くは東南アジア方面だと言われているけど、まだ詳しくは調べられていないんだ。鳥たちのくらしぶりから、なぜ?どうして?を考えるのもバードウォッチングの楽しみなんだけど、種ごとにそれぞれのワケがあると思う。
ひ
それに、ワケはひとつではなさそうね。
親鳥は2羽?
安
ところで、シジュウカラの巣立ちビナを見たんだね。スズメはどう?
ひ
もちろん見たわ。子どもはほっぺの黒い模様が薄いとか、翼をバタバタさせて甘えるポーズでわかるって教えてもらったから。
安
声はどうかな?
ひ
子どものシリッ、シリッって声がバッチリ聞こえたよ。声変わりがいつかはまだわからないんだけど。
安
親は2羽いた?
ひ
え? そういえば親鳥は1羽ってこともあったような…。
安
多くの小鳥はオスメス2羽で巣立った子どもの面倒を見るはずだけど、どっちかが死んじゃうこともあるんだ。
ひ
親鳥のエサ探しやヒナへの給餌を見ているともう夢中だもんね。近くにネコとかいて、何度か危ないところを見たわ。
安
子どもの成長が早いだけに食欲もすごいから、親は大変だよね。スズメのヒナが巣立つまでに、親は2週間で4200回も虫を運んだってデータもあるよ。
ひ
驚き!
安
巣立ったあとだって大変。まだうまく飛べないし、何が危険かもわからないでぼーっとしているヒナを守りながら、彼らの食欲を満たさないといけないからね。子別れが早いって話をすると人間のお母さんたちはうらやましがるけど、短期集中の子育てのワケとして、生存率が低いっていう野生の原則を話すと「やっぱり鳥に生まれなくてよかった」って言うよ。
幼鳥は何羽?
安
幼鳥は何羽だったか、覚えてる?
ひ
スズメは2羽くらいが多かったかな。シジュウカラはもっとたくさんだったけど。
安
スズメは卵を5個くらい産むって本では紹介されていて、かつては4羽、5羽の子どもを連れたスズメも見かけたんだけど、最近は街の中では子どもの数が少なくなっている気がするんだ。
ひ
生存率が低いから子だくさんなのに、子どもが減ったら大変じゃない。どうしてなの?
安
子育てに必要な虫の減少や営巣環境の変化が考えられる。かつては人家の軒下のすき間によく巣を作っていたけど、最近の建造物はすき間があまりないから、パイプの穴とか狭いところに巣を作るようになったんだ。
ひ
食料難に住宅難か。でも、スズメって夏までに子育てを2回くらいくり返すのよね?
安
巣立ち後しばらく世話したらすぐ子別れだから、シジュウカラやツバメでもくり返すペアがいる。その中でも、スズメでは最近、秋にも巣立ったばかりの子スズメが観察されてるんだ。
ひ
えっ、秋にも子育て! 少子化だから、子育てをくり返す回数が増えてるの? それとも子育ての時期がのびてるのかしら?
安
それがわかるには、まず、スズメの成鳥・幼鳥それぞれの数を把握しないとね。
ひ
スズメでもいろんな観察テーマがあっておもしろいね。
企画・文/安西英明、法月稚津余(普及室)