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ひなこのお散歩鳥講座
NOTE34 9月・10月 名前に意味あり由来あり
公園に鳥の好きな木の実がたくさんなりました。秋は夏鳥が南へ去る季節。山で子育てしていた夏鳥が、渡りの途中に身近な緑地に立ち寄ることもあるので楽しみです。あなたの家の近くでも意外な出会いがあるかも。今回は、鳥の名前の由来について聞いてみました。
木の実も飛んで食べる

イラスト
イラスト/小島早恵
ひなこ(以下ひ)以前、この公園でキビタキを見たよね。
安西(以下安)9〜10月は、他にもオオルリやコサメビタキ、エゾビタキなどのヒタキ科の小鳥が公園にいることがあるよ。気づかれないことが多いけどコムクドリがムクドリの群れに混じっていたり、ヨタカが枝でひと休みしていることもある。
渡り鳥が立ち寄ることを考えると、身近な緑地も大切に思えるわ。どんな場所によく寄っていくのかしら?
ヒタキ科の場合、黒く熟しているミズキの実に集まって来ることがある。
あれ、ヒタキ科の鳥って飛んでる虫を捕まえるから英名がフライキャッチャーなのよね。
そう。だけど秋には木の実も食べるんだ。ただ、ヒタキ科らしい食べ方をする。
虫を食べる時のように、枝から飛び立って空中でつまみとるとか?
その通り。フライングキャッチと呼ばれる食べ方だよ。
へぇ、冗談のつもりだったのに、習性っておもしろい。
枝に止まって実をつまむこともあるけど、フライングキャッチなら枝からくちばしが届かない実も食べられる。でもハエやトンボのような虫が飛んでいると、ミズキの枝にいてもそっちに行っちゃうようだ。
やっぱり虫がいれば、虫を選ぶのかもね。冬でも飛んでる虫がいる南の国まで渡って行くくらいだもの。

名前の由来

あっ、コサメビタキだ!
イラスト これが私の得意ワザ!
イラスト/加藤明子
え〜っ、どこどこ!! いや〜ん、見たかったなぁ…。ところで、コサメビタキってなんでコサメなワケ?
コサメ・ビタキではなく、コ・サメビタキ。サメビタキより少し小型って意味。
じゃあ、サメビタキのサメってなーに?
灰色をしているから、鮫の色が由来らしい。
なるほど。前回、案内する時に使える英名を教えてもらったけど、鳥に関心を持ってもらうには名前の由来も使えるんじゃないかしら。
そうだね。わかりやすい由来やおもしろい由来なら、印象に残るという効果もあるよ。
そう言えば、ムクドリはムクノキの実を食べるところからついた名前だって聞いたんだけど、理科の先生にムクノキの由来を聞いたら「ムクドリがよく食べるからじゃないか」って…。
由来がわかっていなかったり、複数の説がある名前もあるからね。ムクドリの場合もムレキドリ(群木鳥、群来鳥)が元だとか、むくんだ鳥だからなんていう説もある。一筋縄ではいかない鳥を話題にするのもいいけど、むしろ由来を説明しないと誤解を招く鳥もいる。
例えば?
昔、コミミズクって小さいミミズクの意味だと思っていたんだけど、実際に見たら大きい鳥なんで驚いた。実はコミミ・ズクだったんだ。
「小耳」か。耳のように見える羽が小さいってことね。
探鳥会でカシラダカがいるって言ったら、「そんなタカがいるの?」ってびっくりされちゃった。それ以来、僕は「カシラダカはホオジロの仲間で、頭の羽が立って高く見えることが名前の由来」って説明してる。
鳥の特徴がわかる名前って、案内するのに好都合ね。
ウグイスの「ウク」は「奥」、「イス(ヒス)」は「出ず」が由来で、藪の奥にいて姿を出さない、見にくいという解説につながる。キンクロハジロというカモの名前も、目の金色に注目してもらったり、「飛ぶと翼に白が目立つからハジロ」という解説ができるね。

地方名やニックネーム

関心を持ってもらうことが目的なら、図鑑に載っている名前じゃなくてもいいのよね。
例えばヨタカ。キュウリキザミとかナマスタタキとか、地域によっていろんな呼び方がある。
キュウリをきざむ?
日没後や夜明け前「キョキョキョ…」と続けて鳴くのが、台所で包丁を使っているように聞こえるから。「嫁起こし」なんて傑作もある。夜明け前に姑さんが先に台所に立っていると思って、嫁さんがあわてて起きちゃうってのが由来なんだって。
なるほどねぇ。身近な鳥では、どんなのがあるの?
早ければ10月に到着するジョウビタキ。「紋つき鳥」という呼び方は、翼の白い模様が由来なんだけど、オスもメスも共通している識別ポイントの説明になっていいと思うんだ。セキレイの仲間では「庭たたき」「石たたき」「水くみ鳥」「しりぴんこぴんこ」「数え鳥」などいっぱいあるよ。
尾羽を上下するところからついた名前ね。でも数え鳥って何?
もう少し大人になったら教えてあげる。
えー、何を数えるのかしら? 気になるなあ。
男と女の神様が、腰を振るセキレイを見て子孫を増やす道を学んだって『日本書紀』に記されているそうだよ。
むむむっ。わかったような、わからないような…。
地方の古い呼び方だけでなく、自分で新しいニックネームをつけるのもいいよ。
探鳥会でムクドリを「空飛ぶ三角定規」なんて言ってるのを聞いたけど、飛んでいる形をうまく表していると思うわ。
自分の感性で楽しい名前をつければ、案内に生かせるんじゃないかな。ツグミを「胸まだらちゃん」って名づけた人や、カワラヒワを尾羽の形から「サンマのしっぽ」って呼んでる人もいた。
キャッチコピーも興味をそそっていいわね。カワセミを「空飛ぶ宝石」って聞いたら、見たい気持ちになるもん。

参考文献/『名前といわれ日本の野鳥図鑑1野山の鳥』国松俊英、偕成社
注)今回はバードウォッチング案内人研修会のテキスト第4章「案内の内容と方法、基本種の知識」に沿った話です。

企画・文/ネイチャースクール
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