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バードウォッチングを始めよう

 
ひなこのお散歩鳥講座
NOTE32 7月 スズメはスパロー?
もうじき楽しい夏休み!でもその前に期末テスト…私、英語が苦手なの。鳥の名前を英語で答えよ、なんて問題だったらがんばるのに。ところで、鳥の英語の呼び名と言っても、一つとは限らないって知ってました? 今回は鳥の名前あれこれについて聞いてみました。

鳥の暑さ対策

イラスト
イラスト/小島早恵
ひなこ(以下ひ)ヒナをよく見かけるようになったと思ったら、さえずりは静かになってきたね。
安西(以下安)一般的にさえずってなわばりを守るのは子育てシーズンだけ。
「子育てが終わるとなわばり宣言も終わる」ってことか。それにしても鳥たちの子育てって、始まったと思ったらもう終わりが近いんだ。
ただ、スズメやシジュウカラやツバメのように、夏までに子育てを繰り返すものもいるし、失敗を続けて今頃になって子育てにたどり着くようなペアもいるから、一斉にさえずりがやむわけじゃない。
でも、夏休み頃にピークは過ぎちゃうんでしょ。夏ならではの観察ポイントはないの?
「親子やペアの関係が続くのか、終わるのか」「いつ、どのように分かれるのか」、あるいは「幼鳥はいつから成鳥と同じような声や行動になるのか」などいろいろあるよ。例えば、あそこのスズメを見てごらん。
少し口を開けてるわ。
鳥は汗をかいて体温を下げることができないから、代わりに口を開ける。暑い時にはよく見られるよ。
へぇー。どのくらいの温度になると開けるのかしら。
東京で見てる範囲だと、ハシブトガラスなどでは30度を超えると目立つように思うけど、北海道のウトナイ湖では26度でスズメが口を開けていた。
そっか、地域や種類によっても違うかもね。

世界共通の名前

バードウォッチングの案内人になるには、まず自分に身近な自然から覚えていこうってことだけど、身近な鳥の行動でも気付かないでいることがたくさんあるのね。
わかっていないことの方が多いんだし、知識を求めたらきりがない。だから、自然についての全体的で原則的な捉え方と、そのための視点が大事なんだ。
じゃあ例えばスズメだったら、どんなことを知っていればいいの?
大事なのは、僕らが出会う鳥は生きのびた一部でしかないとか、子育てにはたくさんの虫が必要で、その虫を養う植物とか、この星の命のつながりの中で…。
安西さんはいつもその話ね。
むむむっ! それじゃあ特別に、バードウォッチング案内人研修会で示している「名前と分類」について教えてあげよう。
名前? スズメはスズメでしょ。
スズメっていう日本での呼び方(標準和名)は海外では通じない。万国共通の名前は学名として決められている。スズメはPasser montanus(パッサー・モンタナス)。
何それ。英語の名前と違うの?
英語の名前(英名)でスズメはTree Sparrow(ツリー・スパロー)。ただ、英名でも国によって違うことがある。例えばハクセキレイは、アメリカではWhite Wagtail(ホワイト・ワグテイル)だけど、イギリスではPied Wagtail(パイド・ワグテイル)とも呼ぶ*
えーっ、国で違うんじゃ困るわ。
だから学名が必要なんだ。二つのラテン語で、最初が属の名前、次に種の名前を示す。スズメの場合、パッサーはスズメ目ハタオリドリ科スズメ属というグループのこと。ちなみにヒトの学名はHomo sapiens(ホモ・サピエンス)で、ホモが霊長目ヒト科ヒト属を示している。
学名で、どんな属に分類されているかがわかるのね。
国ごとの呼び名は分類に準じているわけではない。日本でタヒバリはヒバリ科じゃなくてセキレイ科だし、アメリカで「スパロー」はホオジロ科の鳥に多くつけられているよ。

郊外でくらすスズメ

スパローとついていてもスズメの仲間ってわけじゃないのか。う〜、学名をおぼえなきゃだめかな。
バードウォッチングは分類がわからなくても楽しめるし、目や科なら図鑑に出てるでしょ。日本人相手の案内なら学名まで知っている必要はないと思うよ。案内人の役割は学問的な話をすることではなく、まずは関心を持ってもらうことだから、おもしろい英名や地方名などを知ってた方が役立つんじゃないかな。
それなら、ツリー・スパローっておもしろいと思うわ。なんでスズメの前に「木」がつくわけ?
ヨーロッパではイエスズメという種が人家近くにいて、日本と同じスズメという種は郊外に多いかららしい。
「道に迷ったらスズメを探せ」って言うけど、ヨーロッパでは通じないのね。
日本では山林でもスズメがいたら人家が近いはずだから、そこであきらめちゃいけないってことだけど、ヨーロッパなら「イエスズメを探せ」だね。
どうしてかな?
両種にとって人家周辺が、食物が豊富で天敵が少ないなどの条件ですみやすいとすれば、イエスズメがスズメより勢力が強いので、スズメは遠慮せざるを得ないという見方がある。
ヨーロッパ旅行で道に迷ったら、スズメとイエスズメが見分けられないとまずいかもね。
それと、英語もできた方がいいんじゃない?
むむむっ。
イラスト スズメの名前あれこれ
イラスト/加藤明子
企画・文/ネイチャースクール

*wagは「振る」、tailは「尾」、Wagtailで「セキレイ」のこと。piedは「まだらの」の意味。  戻る↑

注)今回はバードウォッチング案内人研修会のテキスト第4章「案内の内容と方法、基本種の知識」に沿った話です。
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