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ひなこのお散歩鳥講座
NOTE31 6月 狭い日本と言うけれど
じめじめ梅雨の季節になりました。雨の中を出かけるのはおっくうだけど、鳥たちは雨の中でも平気なのかしら? 今回は安西さんに、雨の日の野鳥たちの話と、日本の鳥の特徴について聞いてみました。

雨は辛いか、嬉しいか


イラスト/小島早恵
ひなこ(以下ひ)ツバメが低く飛ぶと雨が降るって聞いたんだけど、本当?
安西(以下安)必ずってわけじゃないけど、ツバメの食生活から考えるとウソでもない。
飛んでる虫を、飛びながら食べるんでしょ。
虫は雨の中ではほとんど飛ばない。雨が降りそうな湿度の高い状態でも、高くは飛べないし。
なるほど。ツバメの天気予報もあたるかもね。じゃあ、雨が続くとツバメは困るんじゃない?
飛んでいる虫を食べるという点では、アマツバメやヨタカ、ヒタキ科の鳥などにとっても辛いだろうね。虫を養う植物にとっては恵みの雨だから、長い目で見れば雨は必要だけどね。他にカワセミやフクロウも困るかも。
カワセミは雨で水が濁ったら魚をとれないもんね。フクロウはどうして?
夜の狩人は、視覚だけでなく耳でも獲物の方角や位置を捉えるらしい。
そっか、雨の音は狩りの邪魔になるかもしれないわ。
もともと鳥たちは羽づくろいしながら脂を塗って防水加工してるから、基本的には傘いらずだけど、降りが激しくなった時、スズメやドバトが軒下に避難するのを見たことがあるよ。
これがホントの“あまやドリ”、なんちゃって。
逆に、雨が降り出したら水浴びを始めたスズメも見たことがある。どんな意味があるのか、いまだに不思議なんだ。ハシブトガラスでは、雨の中で翼を広げて水浴びの代わりにするようなおもしろい行動も見たよ。

日本は鳥が多い?

うわ〜、本格的に降ってきた〜!
じゃあ今日は鳥見はやめて、これまで話してきた日本の野鳥についてまとめてみよう。まず世界におよそ九千いる野鳥のうち、日本には*550種程度だったよね。
日本の鳥の種類って、世界で見てみると多いの、少ないの?
少なくないよ。旧北区と東洋区にまたがってるし、海に囲まれて環境が多様で、島には固有種もいる。さらに、長い渡りをするシギなどの旅鳥にとって北上や南下の重要なルートにもなっている。緯度や面積が近いイギリスよりも多いんだ。
日本では渡り鳥の方が多いんだっけ?
『フィールドガイド日本の野鳥』(高野伸二著・日本野鳥の会刊)には、一年中国内で見られる種は約36%とあって、冬鳥約22%、夏鳥約10%、旅鳥約15%と紹介されている。残りは迷鳥などが約17%。
一年中日本で見られる鳥でも、ずっと同じ場所にいるとは限らないのよね。
シメやオオジュリンのように北海道で繁殖して本州以南で越冬するもの(イラストA)の他、ウグイスやアオジ、アカハラなどでは山地から低地への移動(イラストB)も考えられる。スズメでわかってきたんだけど、同じ低地にずっといるようでも、若い鳥はかなり移動してる可能性もある(イラストC)。例えば、フィールドガイドでアオジの分布図を見てごらん。
繁殖地がサハリンとか、シベリアにもあるわ。
この公園では冬鳥のアオジが、今、夏鳥として子育てしている場所は、山地か北海道か、あるいはシベリアかもしれない。
地域によっても違うから、夏鳥、冬鳥って一概には言えないのね。基本は「同じ種はだいたい同じくらし方をしている」んだけど、よく見てみると「同じ種でもすべて同じじゃない」のよね。なんか複雑。
野生生物の世界はそう単純じゃないし、わかっていないことが多いから、細かいことを知るより、分かり方や視点が大切だと思う。
そうか。それに、いろんなのがいるからこそ、環境の変化にも対応して誰かが生き残ったり、それが進化に結びついたりするんだったわね。

まずは地域から

北海道や南西諸島の違いは聞いたけど、本州や九州でも違いはあるの? (参照/NOTE18
旧北区に広く分布してるアカゲラが四国や九州にはいないとか、関東で普通にいるオナガは西日本では見られないとか。
そう言えば、大阪の人がオナガを見に東京まで来るんだってね。
うん。東日本と西日本での違う例として、越冬ではオオハクチョウ、オオセグロカモメ、キレンジャクなどが東、コハクチョウ、セグロカモメ、ヒレンジャクなどは西に多い傾向がある。繁殖地でもアカハラ、アオジなどは東に多く、コシアカツバメなどは西に多いといった違いがある。
“日本は狭い”って言ってもホントにキリがないわね。やっぱりこの公園の鳥からわかるようにしようっと。
バードウォッチング案内人研修会でも、「まずは自分の地域、身近な鳥から」って話してるんだ。「Think globaly, act localy」って言葉もあるし。
あのー、私、英語の成績悪くて…。
「地球規模で考えて、地域から行動しよう」ってことさ。地球環境も、地域が集まったものだからね。
イラスト 日本の鳥の移動もさまざま イラスト/加藤明子
企画・文/ネイチャースクール

*日本鳥学会による日本産鳥類リスト(日本鳥学会誌46巻1号)では18目75科538種で、他にコジュケイやカワラバト(一般にドバトと呼ぶ)などの外来種26種(亜種を含む)や、種や亜種の同定を検討中が35種(亜種を含む)となっている。さらに、日本鳥学会誌48巻1号によれば3種が追加された。  戻る↑

注)今回はバードウォッチング案内人研修会のテキスト第5章「地域の鳥」に沿った内容です。
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