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春にはじまった子育ては早くも巣立ちの季節を迎えます。これから鳥の世界は親子だらけになるんだって。前回までは、身近な野鳥が、国内でも見られる季節なんかに違いがあるという話だったけど、国を超えた世界の視点で見てみるとどうなるのかな?
声変わりはいつ?

イラスト/小島早恵 |
ひなこ(以下ひ)変な声がする。去年聞いたような…。
安西(以下安)シリッ、シリッて声だね。ヒナの声だよ。
ひあっ、スズメのヒナだ! 安餌をねだる声が大きくなると、巣の外でも聞こえるようになる。巣立ち後も、しばらくはこの声で鳴いてるよ。
ひいつごろから親鳥みたいな声になるの?
安スズメなどの小鳥の場合、親鳥が巣立った幼鳥の面倒を見るのは、たぶん半月あるかないか。幼鳥はその間に親鳥のような声も出せるようになって、独立していくんじゃないかな。警戒の声とか、いつ頃一通りの鳴き方ができるようになるかはわからないけど、オスなら来年の春にはさえずるはずだよ。
ひ冬を乗り越えられたら、もう結婚、子育てかぁ!
安自然界の原則は「生きのびたらラッキー」。生存率の低さは子どもの数や繁殖回数でカバーされている。だから、親子や夫婦の関係も長くは続かないのが普通で、ペアの相手は毎年違うかもしれない。この話をするとかわいそうって言う人と、うらやましいって人がいるんだけどね。
ひむむっ、相手が変わってうらやましいってのは問題ね。
巣立ちや子別れの不思議
ひテレビでクマゲラの巣立ちを見ていたら、親鳥は餌を持ってきてもあげないで、ヒナがお腹をすかして巣から飛び出したみたいだったよ。
安それまでヒナの口に餌を押し込んでたのに不思議だよね。それから巣立ったヒナにはまた餌を運んで、しばらくしたらまた突き放して子別れする。
ひスズメの子別れも同じなの?
安実はこんな身近な鳥でもよくわかっていないんだ。カイツブリやタンチョウの子別れを見た時は、親鳥がそれまで守ってきた子どもを攻撃していたよ
ひ親鳥は、巣立ちや子別れの時をどうやって知るのかしら?
安あまり調べられていないと思う。でも僕らが気づかないだけで、身近な鳥でも子育てのドラマが展開していることは間違いないよね。

イラスト/加藤明子 |
日本の鳥、世界では?
ひところで、スズメって世界中どこでもいるの?
安スズメはスズメ目ハタオリドリ科スズメ属。このグループのルーツはアフリカで、ヨーロッパやアジアに広まったらしい。
ひじゃあ、アメリカにはいないんだ。
安北米や中南米には本来いない*1。 英語でスズメ(Sparrow)と名がつく鳥は、多くがホオジロ科なんだ。他に、日本では普通にいるスズメ目のムクドリ科、メジロ科、ヒヨドリ科も、本来は一種もいない。一方、タカ目コンドル科やアマツバメ目ハチドリ科のように、北米や中南米では普通だけど、日本やユーラシア大陸にはまったくいない鳥もいる。
ひふーん、日本の鳥ってユーラシア大陸の鳥に近いの?
安鳥類の地理的分布の一説では、日本からヨーロッパまでを「旧北区」としてまとめる。シジュウカラやハクセキレイのように、イギリスまで同じ種が分布している例も少なくない。北米は「新北区」、中南米は「新熱帯区」として区分され、旧北区とは見られる鳥に違いが多い。
ひでも、同じ日本でも南西諸島は固有種が多いし、ハシボソガラスだっていないのよね。(参照/NOTE28、29)
安そう! 南西諸島は「東洋区」と呼ばれるアジアの熱帯や亜熱帯の地域に区分されるんだ。
ひ日本は旧北区と東洋区ってことか。表を見ると、旧北区から新北区にまでいる身近な野鳥はツバメくらいね。
安身近じゃないけど、分布が広い例にハヤブサがいる。見られないのは南極、ニュージーランド、南アフリカくらい。
ひえーっ、タカやハヤブサって生態系の頂点にいて、数が少ないんでしょ!? 食べる側の生き物は食べられる側より少ないから数のバランスがとれるのよね?(参照/NOTE16)
安分布が広いから数が多いとは限らないよ。ミサゴもほとんどの大陸にいるけど、エサとなる魚を介した有害化学物質による汚染などの影響で減っているようだ。オジロワシは旧北区に広く、イヌワシでは新北区まで分布してるけど、やはり減少している地域が多いらしい。
ひ豊かな自然の証になる猛禽類は、分布が広くても安心できる状態じゃないのが多そうね。分布が狭い鳥にはどんなのがいるの?
安日本固有種は以前話したけど(参照/NOTE27)、繁殖地がほぼ日本国内だけという鳥はアホウドリ、クロウミツバメ、ミゾゴイ、オオジシギ、カンムリウミスズメ、コマドリ、イイジマムシクイ、ノジコなど。他に日本近辺に限られていると言えるのがカラスバト、ヒヨドリ、アカハラ、クロジ、コムクドリなど。越冬地が日本近辺しかない鳥としては、ヒレンジャクやオオワシなどがあげられる。
ひとても覚えきれないけど、日本で守る責任が重い鳥が結構多いってわかったわ。日本では身近でも、世界で見ると日本の回りにしかいない鳥もいるのね。
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| 地理的区分で見る基本27種の分布
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| 旧北区、東洋区、熱帯アフリカ区、オーストララシア区、新北区 |
ツバメ、ドバト*2 |
旧北区(東部から西部) |
冬鳥 |
| 旧北区、東洋区、熱帯アフリカ区、オーストララシア区 |
コサギ(旧北区では日本近辺やヨーロッパ南部のみ)、トビ |
旧北区(東部)、東洋区 |
カルガモ、キジバト、モズ、ジョウビタキ、シロハラ、ツグミ、ウグイス、メジロ、ホオジロ、アオジ、カワラヒワ、ムクドリ、ハシブトガラス |
| 旧北区、東洋区、熱帯アフリカ区(北部) |
ユリカモメ、ハクセキレイ |
| 旧北区、東洋区 |
シジュウカラ、スズメ |
旧北区、東洋区の日本周辺のみ |
ウミネコ、コゲラ、ヒヨドリ、アカハラ |
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*1
ヨーロッパのイエスズメやホシムクドリは北米に移入されて増えている。 戻る↑
*2 カワラバトを改良した伝書鳩が野生化した鳥。
企画・文/ネイチャースクール
注)今回はバードウォッチング案内人研修会のテキスト第5章「地域の鳥」と、第4章「基本種の知識」の一部に沿った話です。
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