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バードウォッチングを始めよう

 
ひなこのお散歩鳥講座
NOTE29 4月 身近な鳥ってどんな鳥?パート2
去って行く冬鳥、やって来る夏鳥……春は町の中でも、いろ〜んな鳥が見られる季節。皆さんにはもう、春を感じる出会いがありましたか?前回は1年中見られる身近な鳥を紹介しました。今回はその続きで、季節によって移動する身近な鳥たちをご紹介します!

イラスト
イラスト/小島早恵
同じ種でもいろいろ

ひなこ(以下ひ)いい声が聞こえるわ。誰かのさえずり?
安西(以下安)うん。春から聞こえるいい声は、まずさえずりと考えていい。誰のかというと、先月紹介したメジロの歌と比べてどうかな?
メジロよりのんびりした感じね。
そうだね。よく似たホオジロのさえずりを基準にするとわかりやすいんだけど、ホオジロよりスローテンポだから、正体はアオジ。
へー、冬の間チッ、チッて鳴いてたあのアオジか。でも、こんなところでさえずっていて、お嫁さんは来るの?
アオジやウグイスは本州以南の低地では冬鳥で、春には山か北へ帰って子育てする。ただ、みんな一斉に帰るわけじゃなくて、3〜5月にかけて去るんだけど、去る前や途中でさえずるのもいるんだ。
じゃあ、この声はこれから帰るアオジ? 同じ鳥でもいろんなのがいるのね。
「共存」や「多様性」って、種の多様性とか、種を含めた生態系の多様性ってことでイメージすることが多いけど、一つの種の中にも遺伝子の多様性という視点がある。種は、同じ姿かたち、同じくらし方が基本だけど、つっ込んで見ると実はすべて同じというわけではない。
そう言えば、人間でもいろんな人がいるものね。
この遺伝子の多様性は、種の存続や進化のもとと考えられるんだ。
同じ種でもいろんなのがいた方がいい、いろんなのがいると進化にもつながるってこと?
その通り。ただ、オスの場合は早く繁殖地でさえずって、先にいいなわばりを確保した方が、メスにモテると思うけどね。
えっ!? ちょっとそこのアオジくん、早く帰った方がいいわよ!

すばらしさと厳しさ

ひなこちゃん、今回は無理して声を覚えようとしないね。
うん、アオジは町ではよくさえずるわけじゃないみたいだからいいや。
正解、正解! 命とかくらし方に想いをはせて、想像力や感性で楽しむのもバードウォッチングだからね。
だって、自然のしくみのすばらしさとか厳しさが、何となくわかってきたもん。私たちが出会う野性の命は生きのびた一部でしかないって思うと……あのアオジは無事に故郷まで帰って、うまく結婚できるかしら?
「すばらしさと厳しさ」か、いいこと言うね! 種ごとのくらし方の違いや数のバランスによって多くの生物種が共存してるのはすばらしいけど、それは命それぞれが生きのびようとした結果だからね。ほとんどは他の命の食物になってるという厳しい現実があってこそ、全体のバランスが保たれてるわけだし。
「生きのびたらラッキー」とか「人の常識は、地球の非常識」って聞いても最初はわからなかったけど、自然の生き物を見てよくわかったわ。
あるがままの野鳥を通して自然について知ることで、地球の歴史や自然のしくみの中でのヒトの繁栄の問題点も見えてくるし、自分という命が今ここにあることのすばらしさも実感できるよね。

3つの視点

春になったから、夏鳥を覚えようかと思ってたんだけど、表の身近な鳥では夏鳥はツバメしかいないのね。
覚えるなら優先順位が大切とは話したけど、冬鳥がどのように去るのか、どこでどうやって結婚して子育てするのかとか、想像力で楽しむには時期は関係ないんじゃないかな。
イラスト
イラスト/加藤明子
なるほど。秋に再会するのがもっと楽しみになるわね。
それに、前回紹介した一年中見られる鳥の中にも夏鳥がいるかも。南の方で冬に増加しているらしいスズメ、ヒヨドリ、コサギ、カワラヒワ、ムクドリなどでは、春に北上して来るのがいるんじゃないかな。
同じ種にもいろいろ…そこまで考えたら、ホントにわかってないことだらけだわ。
「わかってないことが多い」っていう認識は、人間や科学が万能という思い上がりに気づいたり、自然に対する謙虚な態度にもつながる。自然保護では、詳しくわかっていないからこそ、つながり全体、つまり生態系を含めた環境を広く保全していくことが必要だって主張できる。
でも、自然はさまざまで、つながってることだけは確かよね。
そう、細かい知識より視点が大切。それで基本的なことは押さえられる。バードウォッチング案内人研修会では、多様性(さまざま)、関連性(つながり)、神秘性っていう3つの視点から、持続可能な自然のしくみを理解し、伝えていこうとしているんだ。
神秘性って、わかってないことが多いってこと?
うん。それと、不思議だなって感じられることもね。この「不思議を感じる心」って、自然と親しむ時に大切だと思うんだ。
研修会で示している基本27種のうち季節が限られる9種
(1年中見られる18種は前回紹介)
ツバメ 夏鳥(南西諸島や諸島部では旅鳥が多い) ツグミ 冬鳥
ユリカモメ 冬鳥(北海道では旅鳥が多い) ウグイス 低地で冬鳥(北海道や山地では夏鳥)
ジョウビタキ 冬鳥(北海道や雪国では旅鳥) アオジ 低地で冬鳥(北海道や本州以北の山地では夏鳥)
アカハラ 低地で冬鳥(北海道や本州以北の山地では夏鳥) シメ 本州以南で冬鳥(北海道では夏鳥)
シロハラ 冬鳥    
企画・文/ネイチャースクール

注)今回はバードウォッチング案内人研修会のテキスト第5章「地域の鳥」と、第4章「基本種の知識」の一部に沿った話です。
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