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暦の上ではもう春!とは言え、まだまだ寒い日が続きます。鳥見の寒さ対策は万全に。ところで、身近でもよく見るコゲラって、クマゲラより珍しいって知ってた?意外と知らない日本の鳥。地球という視点から日本を見ることも必要なんだって、改めて感じました。
仲間がわかれば案内できる

イラスト/小島早恵 |
ひなこ(以下ひ)あっ、コゲラの声がしたよ!
安西(以下安)うん、ひなこちゃんもよく気付くようになったね。
ひだってあの「ギー」って声は、他に似た鳥がいないからわかりやすいよ。
安でも、鳥の声ってことさえわからない人の方が多いはず。野生の命に気付くようになったってことは、案内人の資格アリ、だね。
ひコゲラに気付いたら、どんな説明をすればいいのかしら?
安「案内人=説明する人」ではない。姿を見られそうな状況だったら、まず探してもらって、実際に見てもらうようにした方がいいんじゃないかな。
ひえー、声は聞こえたけど、どこにいるかわかんないわ。
安そんな時は、あえて姿を示さなくてもいいかもしれない。あるいは「どうして探しにくいか」っていう話ができる。例えば、キツツキの仲間は木の幹に潜む虫を食べるから、幹にとまってる。それで、警戒すると幹の反対側に回っちゃったりするからね。
ひなるほど。コゲラの説明よりキツツキの仲間の話の方がしやすいな。

イラスト/加藤明子 |
安日本の鳥約550種を覚えるより、仲間で言えば、分類の目の単位では18目だからね。世界の鳥約9000種だって、30目以下にすぎないし、「共存」を理解するのに種がすべてわかる必要はない。
ひ先月教えてもらったけど、種や亜種が決められないような鳥もいるものね。
安大事なのは、太陽系の中で恵まれた条件にあったこの星で生命が誕生し、その共通の祖先から進化して、35億年の歳月の結果、生物は数千万種にもなったってこと。どんな民族であれ、ヒトという生物はその中の一種にすぎないってこともね。そして、生物の種はそれぞれのくらし方や数のバランスで共存しているわけだけど、類縁関係が近いものは共通した何かがある。
ひスズメ目みたいに見かけでわからない共通点を持つ仲間もいるけど、姿かたち、くらし方や動作の共通点は、バードウォッチングの楽しい観察ポイントにもなるわね。
コゲラはクマゲラより珍しい
ひキツツキの仲間なら、北海道のクマゲラやヤマゲラって見てみたいわ。
安でも、世界的に見れば、コゲラの方が珍しいんだよ。
ひえーっ、コゲラは日本全国で見られるって聞いたよ。クマゲラは天然記念物だし、数も少ないんじゃないの?
安日本ではね。でも、ヨーロッパまで広く分布してる。ヤマゲラも日本では北海道しか見られないけど、実はユーラシア大陸系の鳥で、台湾とか熱帯アジアまでいるんだ。でも、コゲラはサハリン、朝鮮半島と中国のごく一部しかいない。
ひへぇー、日本に近いところしかいないんだ。日本で普通の鳥が世界では珍しいとか、日本で珍しい鳥が世界では普通だったりするわけね。
安世界を知ると日本が見えるってことさ。日本では記録の少ないミユビゲラよりアオゲラの方が珍しいようにね。
ひえっ、アオゲラも“珍しい”の!? この公園でも見たことあるのに。
安アオゲラは、世界中で九州から本州にしかいない日本固有種なんだ。日本のミユビゲラは、亜種や地域個体群というレベルで貴重な存在なんだけど、種としてはヨーロッパばかりか北米にも分布してる。
ひう〜ん、私、日本を知らないのね。そもそも日本固有種ってどういう鳥?
安日本という地域以外では生息が知られていない鳥って言えばいいかな。本州から九州ではアオゲラの他にヤマドリ、北海道を加えるとセグロセキレイ。四国以北にカヤクグリ。南西諸島ではノグチゲラ、ヤンバルクイナ、アマミヤマシギ、アカヒゲ、ルリカケス。伊豆諸島のアカコッコ、小笠原諸島のメグロなどがいる。
ひ島には固有種が多いのね。覚えきれないわ。
安固有種を全部覚えるより、島には固有種が多く、日本は島国だから固有種が多いってことが大事。それと、近年絶滅した種のおよそ九割が島の鳥って言われていて、今も危機にあるのは島の鳥が多いってことも覚えておくといい。
ひどうして島には固有種が多くて、そんなに絶滅しちゃっているの?
安まず、島という限られた地域の生態系の中で独自の進化をして、各々の固有の種が生まれたと考えられる。同時に、限られた自然の中では開発や移入種などの影響が大きいと言える。
ひそっか、島ごとの独特の生態系にあわせて生きてきた鳥たちは、いったんそれが崩れたら、簡単には適応できないってことなのね。
安リュウキュウカラスバトなど日本で絶滅したと考えられる八種は、すべて島にいた鳥だ。今、危機にある鳥では、ノグチゲラの場合、原生的な林の減少が関係している。キツツキにとって食物や繁殖場所を確保するのに古い木が欠かせないけど、なにせ沖縄本島北部にしかいないからね。
ひ移入種の影響もあるの? 安沖縄や奄美諸島ではマングースによる捕食でヤンバルクイナやアマミヤマシギが、伊豆諸島ではイタチによってアカコッコが減っているらしい。
企画・文/ネイチャースクール
注)ひなこさんは、公園で野鳥を楽しみながら案内人を目指す高校生です。今回からバードウォッチング案内人研修会のテキスト第5章「地域の鳥や自然、自然保護」に沿った話に入ります。なお、前回までの話(第2章)のポイントは次の2点です。(1)地球や生物についての基礎、ヒトとはどんな生物かを知ろう。(2)共存のしくみを理解するために「さまざまな自然」「つながりのある自然」という視点を持とう。
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