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シジュウカラの巣立ちビナを見たの。かわいくて、頼りなげで、迷子だと思ってつい拾っちゃう気持ちがわかりました。うまく飛べずに地面に降りちゃったヒナもいたけど、離れて見守っていたら、ちゃんと親鳥に付いて行きました。ヒナの誘拐に注意の季節です。
巣立ちの季節
ひなこ(以下ひ)
キャッキャッキャッって騒がしい声。何かしら?
安西(以下安)
ムクドリの子どもの声だと思うよ。探してごらん。
ひ
あの枝に並んでいるのがそうね。あっ、子どもが翼をばたつかせて餌を催促してるわ。
安
7月は、子育てのスタートが早い小鳥では2回目の巣立ちの時期になる。中には1回目を失敗して2、3度目のチャレンジでようやくヒナを巣立たせる鳥もいるし、スタートが遅いヒヨドリやオナガなどの巣立ちも見られるよ。
ひ
あちこちで親子が見られる季節なのね。スズメサイズの小鳥では、ヒナがかえって巣立つまでにだいたい2週間前後って聞いたけど、やっぱり種によって違いはあるんでしょ?
安
ムクドリやオナガでは20日くらい、カラスでは1ヵ月くらい。スズメサイズでもツバメの場合は3週間ほどかかる。ツバメは巣立つと空中生活が中心になるからね。
ひ
じゅうぶん飛べるようになるまで巣を離れないってことかな。そういえば、ツバメの子どもは親くらいのサイズになっても、巣の中で翼をバタバタさせて飛ぶ練習をしてるわ。
安
ヒナに練習するという意識はないと思うけど、結果的に巣立ち後の飛行に役立ってるよね。人間の赤ちゃんがハイハイしたくなればハイハイして、それが結果として歩行の練習になるのと同じなんじゃないかな。
ひ
いつも感心させられちゃう。生き物ってうまくできてるわね。
安
そうやって生きのびてきた結果、今があるんだ。先月見たカルガモのヒナは、卵からかえったらすぐ巣を離れるけど、ワケを覚えてる?
ひ
地上の巣は危険だから、巣にとどまらない作戦よね。
安
そう。キジやシギ・チドリなども同じで、大きめの卵を産む。卵からかえったヒナは、すぐに目が見えて歩くことができるんだ。
ひ
だからすぐに巣から連れ出せるのね。う〜ん、そうやってカルガモは生きのびてきたんだなぁ。
好奇心が大切
安
ひなこちゃんはバードウォッチングの案内人になりたいって言ってたけど、どんな鳥でも、夫婦や親子の話って関心を持たれやすいんだよ。誰でも他人ごとに思えなくて気になるんじゃないかな。
ひ
特別に珍しい鳥やきれいな鳥を見せなくてもいいなら、私にもできるわ。スズメやカラスでもいいの?
安
もちろん! 小さいのが子どもって思っている人が多いから、カラスの親子なんて案外気付かれないでいるよ。カラスの子どもの見分け方って覚えてる?
ひ
ハシブトガラスでは親鳥と違ってウンアーって甘い声。それから子どもは口の中が赤いんだよね。
安
親鳥との動作の違いもあるよ。
ひ
翼をばたつかせる甘えのポーズでしょ。
安
他にも、巣立ち後しばらくは、飛べても着地がヘタとか。親と同じ行動をうまくできるかどうかって視点で子どもを見ると楽しいよ。
ひ
そういえば、巣立ったヒナはいつから水浴びや羽づくろい、頭かきなんかができるようになるのかしら?
安
ハクセキレイの巣立ち前のヒナをやむなく養ったことがあるんだけど、まだ尾羽がろくに伸びてない頃から尾を振ってたよ。でも、最初の頃は頭をかこうとしてこけてたね。スズメ目の小鳥だから「間接頭かき」と言って、翼を下げて頭をかくんだけどね。体の発達具合も関係してると思うけど、本能的な行動でも経験を積んでうまくなるという部分があるかもしれない。
ひ
そういえば、カラスやシジュウカラって、お食事の時に足で食べ物を押さえるのよね。あれって、子どもでもすぐにできるのかな?
安
うーん、おもしろい観察ポイントに気付いたね。注意して見てみるといいよ。
ひ
あれ、さっきのムクドリの子どもが枝をつついてるわ。
安
好奇心が芽生えてきたのかな。親に連れられている間に何か気になるものをつつくようになる。そうやって食べられるものを学習していく部分があると思うよ。
ひ
好奇心が学習になるってことかしら。
安
そうさ。バードウォッチング案内人の役割にも、好奇心を持って野鳥の世界を眺めてもらうようにするってことがある。そして、そのためには案内人自身が好奇心を持ってるってことが大事だと思うよ。おもしろくって不思議な世界の扉は、好奇心が開いてくれるんだ。
ひ
好奇心だったらバッチリ! 私も案内人の世界へゴーできるかも!
企画・文:ネイチャースクール