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先月死んだ鳥を拾ったの。「冬を生きのびたものだけが、春の子育てに参加できる」と聞いて、がんばれ!って野鳥たちに言いたくなっちゃった。でも鳥の死体ってめったに見ないよね。「食べる側」もいるからってことだけど、もう少し聞いてみようっと。
タカ襲来!?
安西(以下安)
ストップ!
ひなこ(以下ひ)
えっ、どうしたの?
安
シジュウカラが「危ないっ!」って声を出したんだ。
ひ
どうしてわかったの?
安
「チッピチーッ!」って感じの声がしたでしょ。今のような細く鋭い声はタカやモズの接近に対して発せられるんだ。ほら、群れのみんなが茂みに隠れちゃったよ。
ひ
緊急避難の合図だったのね。でも、こんな街の公園にタカなんて来るのかしら?
安
山にいたハイタカ、オオタカ、ノスリなどが、冬に獲物を求めて低地にやって来ることがあるよ。
ひ
こんなところまで下りて来るなんて、タカのくらしも楽じゃないのね。
安
特に、経験の少ない若いタカは、試練の時だろうね。若いワシの8割が冬を越せなかったって話しも聞いたことがある。
ひ
ウッソー! ワシやタカの仲間って、強いんじゃないの?
安
さっきみたく、狙われる側にだってちゃんと傾向と対策があるから、むしろ逃げのびる方が多いはずさ。
ひ
そっか。小鳥にしてみれば簡単に捕まるわけにはいかないわよね。
安
タカが小鳥を食べ尽くしたなんて話しは聞かないでしょ。狩りの失敗が続いて飢え死にするものだって少なくないんだ。でも中には、タカの接近や仲間の警戒の声にも気づかずにボーッとしている小鳥がいて、そんなのがタカの命を支えているのかもしれないね。
ひ
うーん、小鳥もタカも、冬を生きのびた一部しか子育てに参加できないってことね。自然界って、厳しいな。
共存のしくみ
安
その厳しい自然界の中で、多くの種が共存してるんだよ。
ひ
いろんな生き物が共存できることが、豊かな自然だって聞いたけど…。
安
例えばこういうことさ。植物が光合成で生産する栄養を虫が食べ、その虫を小鳥が食べ、そして、小鳥を食べるタカは最終消費者になる。でも、消費段階が高いほど数が少なくなるから、それぞれが滅びることはないんだ。
ひ
「食べる・食べられる」の関係の中で、バランスがとれてるのね。
安
1羽のシジュウカラが1年間に食べる虫が10万匹前後になるっていうデータがあるから、1羽のタカが生きていくのに、どれだけの虫や植物が必要かって想像してごらん。
ひ
10万匹・・・可愛い顔して大食いなのね。でもシジュウカラが全部食べ尽くすわけじゃないから、実際はもっとたくさんの虫がいなくちゃならないわけでしょう…。ふーむ、とにかく「タカは豊かな自然の証」って言われるワケはわかったわ。
安
さらに、同じ消費段階の中でも共存のしくみがある。シジュウカラと同じように虫を食べる小鳥でも、水辺のセキレイはすみかが違うから食べる虫の種類が違う。同じ林にいたとしてもコゲラは幹の中の虫を食べる。キビタキなどは飛んでいる虫を好むし、冬は南の国で過ごす。このようにすみかや食物の違いがあるから、争わなくてすむんだ。
ひ
なるほどねぇ。そういえば、いろんな種類がいるのに、ケンカってあんまり見ないものね。狩りをするタカなんかも、争わないしくみってあるのかしら?
安
ノスリは開けた環境でネズミを、ハヤブサは水辺で水鳥をといった具合に、やっぱり違いがある。ハイタカとオオタカはどちらも森で鳥を食べるけど、狙う鳥の大きさが違う。いろんな生物それぞれに食べる生物がいるので、特定の生物だけが増えないようになっているとも言える。
循環のしくみ
ひ
うーん、聞けば聞くほど、うまくできてるのね。
安
だって、生き物たちは絶滅や進化の歴史の中で今に至っているんだから。地球という星は四六億年を経て、さまざまな生物をはぐくみながら共存と循環っていうしくみをつくりあげたんだと思う。
ひ
循環って何?
安
今はやりの言葉で言えば「持続可能」ってやつさ。僕たちヒトという生物に、今まさに求められていることなんだけど、生産、消費、廃棄という活動が、共存のしくみを壊すことなく再生産に結びつくってこと。例えば、毎年秋に葉が落ちても林は落ち葉で埋まることはない。
ひ
落ち葉が再生産に結びつくの?
安
積もった落ち葉をめくっていってごらん。
ひ
だんだん土になっていくわ。
安
植物や動物の死骸、排泄物などはバクテリアや菌類によって分解され土に戻る。そこから植物による生産、虫や小鳥の消費活動へとつながっていく。もちろん日光や水、大気があってこそだけど。地球っていう舞台の上の全ての役者が、それぞれの役割を果たしているからこそ、生き物が生きていけるんだ。
ひ
へえー、地球って、なんだかすごいね!
企画・文:ネイチャースクール