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ひなこのお散歩鳥講座
NOTE15 12月 死体をいかす
寒い季節になりました。私はコートを出したけど、野鳥たちは凍えたりしないのかしら? 実は、うちの庭でスズメが死んでいたの・・・グスン。昨日の晩は冷えたからかなあ。埋める前に安西さんに見てもらうことにしました。

イラスト
イラスト/小島早恵
冬は試練の季節

ひなこ(以下ひ)かわいそうに、今朝、死んでいたの。
安西(以下安)くちばしの先が少し折れているから、ガラス窓にぶつかったんじゃないかな。
寒くて死んだんじゃないの?
鳥は、寒いときには羽を膨らまして空気の層を作り、およそ40度もある体温を外に逃がさないようにするからね。水浴びしたり、羽づくろいしながら脂を塗ったりといった羽の手入れをきちんとしていれば、鳥が寒さだけで死ぬことは、普通はないと思う。
そっか、天然のダウンジャケットを着てるのよね。
でも冬は、食物も不足する。特に今年生まれの若い鳥にとっては、初めて経験する厳しい季節だってことは確かだね。冬を越せずに死んでしまう鳥も少なくないんだけど、生きのびたものが春に子孫を残す資格を得ることになるんだ。
このスズメは、経験不足だからガラスにぶつかっちゃったのかな?
そう。小鳥の幼鳥の多くは、秋までに羽が抜け換わるとほとんど成鳥と同じ色になる。でも、成鳥より経験が少ないからいろんな失敗をしちゃう。その失敗が死にいたらなければ、そこで学習して生きのびる力になるんだろうけど。
でも、あんまり死んだ鳥を見かけないのはどうして?
そりゃそうさ。自然界で特定の生物が増えすぎないでバランスがとれている背景には、食べる側の生物がいるからさ。食べられずに死んだものがいたとしても、カラスやトビのように死体を食べる鳥だっている。だから、死体がそのまま残るってことは、あまりないんだよ。


死体を観察 まぶたと瞳の間

イラスト
イラスト/加藤明子
(ピンを出して、ピン先をスズメの目に当てる)
かわいそうなことしないで!
死んじゃったスズメはかわいそうだけど、ひなこちゃんの勉強に使わせてもらえば報われるかなと思ってさ。ほら、瞳の上に透明な膜が出てきた。
あら、何これ?まぶたじゃないわね。
瞬膜と言って、まぶたと瞳の間にあるんだ。 これを閉じることで、まぶたを閉じなくても瞳を保護したり、乾燥を防いだりするんだ。せきつい動物の進化の中で、両せい類が誕生した頃にできて、は虫類や鳥類に引き継がれている。ほ乳類では退化しちゃったけど、僕たちにもその名残はあるんだ。目頭の内側に、ピンク色の肉のようなのがあるだろう。
えー!これが「もと瞬膜」なの?
そう。瞬膜は小さい鳥だと閉じるのが一瞬だし、ほとんど透明だから、大きな瞳のは虫類や鳥でないと気づかないことが多い。身近な鳥では、カラスを5秒も見ててごらん。瞳が白っぽく見える瞬間があるはずだよ。その時、瞬膜を閉じているんだ。
へえ、このスズメを見るまで気づかなかったわ。 

ひざはどこ? 耳はどこ?

野鳥に触れる機会はめったにないから、この際、脂を出すところも確認させてもらおう。尾羽の上の羽を逆さになぞってみると、小さないぼみたいのはないかな。
あった、あった。ここから出る脂を羽づくろいしながら塗っているのね。あれれ、ひざが反対に曲がってる?
鳥の場合、ひざは外から見えない。曲がって見える部分はかかとなんだ。かかとをもっと曲げてごらん。鳥が眠っていても枝から落ちないワケがわかるよ。
かかとを曲げると自動的に脂が内側に締まるようになってるわ。これで眠ってる間も枝につかまっていられるのね。ねえ、鳥に耳はないの?
目の下、後方の羽を逆向きに立てるようにしてごらん。
へぇー、穴があいてるけど、これが耳?こんな小さな穴でよく聞こえるのかしら。鳥は飛ぶために目がいいんだし、よく鳴くから耳だっていいはずよね。
うん。視覚、聴覚ともに優れた生物といえる。ヒトのように耳たぶはないんだけど、なぜだと思う?
う〜ん、どうしてかな。
乱暴な言い方をしちゃえば、鳥の体は飛ぶのに邪魔になるものはついてないってことさ。
なるほど、そういわれてみればすっごく軽いわ!飛ぶためには軽いってことも大事よね。
スズメは20グラム前後だし、シジュウカラはもう少し軽い。ツバメなら15グラム以下、メジロなんて10グラム前後だ。
じゃ、砂糖小さじ2杯くらい!?うそみたい!
イラスト
イラスト/加藤明子


飛ぶためのしくみ

鳥の体が軽くできている例を挙げてみよう。歯がない、骨が軽い、大腸や膀胱がなく食物をためない、卵を産む・・・。
ちょっと待って。骨が軽いってことは、骨が弱いってこと?
主な骨は「含気性」と言って中心がスカスカで、マカロニみたいに空洞に近い。だけど、その空洞の中を支柱が支えているから、軽いけど強度はバッチリというスグレモノなんだ。
じゃ、卵を産むことが、体が軽いこととどう関係あるの?
子どもを長くお腹に宿さないで、卵の段階で少しでも早く体の外に出すってこと。
人間が1年近くもお腹の中で育てることを考えると、本当に最小限なのね。
オスについて言えば、おちんちんがないんだ。飛ぶためにじゃまになるものは一切ついていないんだよ。
・・・じゃあ、どうするの?
オスもメスも、排泄の穴ひとつで交尾もすます。もう、バッチリ優れもの!
・・・。

企画・文/ネイチャースクール
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