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こんにちは!ひなこです。夏鳥、旅鳥が南の国に渡って行き、冬鳥が北の国から戻ってくる渡りの季節。季節の変わり目は意外な出会いがあるんだって。近くの公園でも、そんな鳥たちが羽を休めているかもしれないって聞いてやってきました。
町の中でもキビタキ!
安西(以下安)
:あっ、キビタキだ!
ひなこ(以下ひ)
:えっ、どうして一瞬でキビタキだってわかったの?
安
:ちらっとしか見えなかったけど、スズメに比べてすばやかったよ。スズメは動作や飛び方にスピードがないから。
ひ
:ふーん、飛ぶスピードも見分けるポイントになるんだ。オスだったら黄色が目立つから、私でもすぐにわかるのに。
安
:今年生まれた若い鳥も渡って行くから、この時期はオスよりもメスタイプの地味な方が多いんだよ。
ひ
:メスタイプ?
安
:オスとメスで色が違う鳥は、オスは成鳥にならないと「オスらしい」色にならない。オスらしい色になるまでは、小鳥でも一年はかかるんだ。だから、一見メスに見えても、オスの若造の可能性がある。そういう場合に、メスタイプという言い方をしているんだ。
ひ
:今のも、もしかしたら若いオスだったかもしれないのね。それにしても、この春生まれたばっかりの鳥が、もう一人前に渡って行かなくちゃならないのね。
安
:渡りは大変な試練には違いないけど、楽しむ僕らにとってはありがたい時期でもあるんだ。山で子育てしていた鳥が、こんな町中で見られることもあるし、北海道で子育てをした鳥が、本州で見られるチャンスでもある。
昼渡るか、夜渡るか
ひ
:私たちの身の回りでも鳥が渡っているのね。私はまだ、鳥たちが渡って行くところを見たことがないの。
安
:サシバ、アマツバメ、ヒヨドリのように昼に渡る鳥は、これから上空を気にしていれば見られるかもしれないよ。
ひ
:そっか、楽しみ! あれ、キビタキとか、オオルリなんてのは、昼間見られないの? ほら、さっきみたいに。
安
:多くの小鳥やカモ類は、昼間休んでいるところが見られるだろうけど、渡って行くのは夜だからね。
ひ
:ええっ、夜に渡るの! 夜はあたりが暗くて危なくない?
安
:鳥は「鳥目」ではないんだよ。多くの小鳥やカモ類などにとっては、逆に昼に渡る方が、天敵に狙われるリスクが高いんじゃないかな。
ひ
:昼間渡れるのは、天敵に狙われない鳥たちなの?
安
:ハクチョウやツルのように大きな鳥、サシバやハチクマのように強い鳥、またはツバメのように飛翔力に優れた鳥が多いようだ。
ひ
:よーし、これからは気をつけて空を見ていようっと。でも、夜の渡りは見られないや。私、鳥目なんだもん。
安
:渡る姿は見られなくても、渡るときの声が星空からふってきてわかることがあるよ。
鳥たちの「地図」
ひ
:ねえ、鳥たちは遠くに旅をするとき、地図もないのにどうやって方向を知るの?
安
:体内時計で時間を感じて、天体の位置から方角を探すという説や、地磁気を感じて方角を知るっていう説もある。
ひ
:わー、超能力みたい!
安
:まだまだ渡りには謎が多いんだけど、昼渡る鳥は太陽、夜渡る鳥は星座を目印にしているようだよ。アメリカのルリノジコの研究では、ヒナの時期に北極星の位置を学習するんだって。星空を見せないで育てたら、渡る方角がわからなかったそうだ。
ひ
:きらめく星をめざして飛ぶ渡り鳥たち…。わあ、ロマンチック! それにしても、あんなに小さいのにすごいわ。
安
:ツバメやキビタキなら体重は十五グラムほど。もっと小さいヤブサメやムシクイ類は、十グラム前後しかないんだよ。
ひ
:軽いからこそ、あんなに長い距離を渡って行けるのかな? シギの仲間には、北極からオーストラリアまで渡るのがいるんでしょ。片道一万数千キロの旅を毎年繰り返すなんて信じられないわ。
もぐる? 化ける? ヒッチハイク!?
安
:古代ギリシャの博物学者アリストテレスは、「冬になると姿を消すヤマバトやヒバリたちは、地下にもぐる」とか、「ヨーロッパコマドリは、夏が近づくとジョウビタキに化ける」とか考えていたんだ。
ひ
:う〜ん、すごい発想ね。
安
:十九世紀になっても、小さな鳥が渡りをするなんて、信じがたいことだったらしい。小さな鳥は、ヒッチハイクのように大きな鳥の背中に乗って渡りをするという説が信じられていたようだ。そうだ、リンネという人を知ってる?
ひ
:わかんない。何をした人?
安
:生物を属名と種名で著す分類学を大成した十八世紀の生物学者で、医学者でもある。そんなすごい学者でも、「イワツバメは、冬になると水の中に入って、春になると出てくる」と言っていたくらいだ。
ひ
:むむ〜、小鳥が海を越えて渡ることが信じられるようになったのは、ごく最近なのね。
渡りの事情
ひ
:どうして渡るのかは、今も答えがでていないんでしょう?
安
:そう。一口に「鳥」といっても、グループや種によってくらし方も違うからね。でも、例えば、さっき見たキビタキなどのヒタキの仲間が「日本で冬を越せないわけ」を考えれば、一つの答えは出せるかもしれないよ。さて、彼らは何を食べている?
ひ
:えーと、図鑑には「飛んでいる虫」って書いてあるわ。
安
:他に飛んでいる虫を食べる鳥ってわかる?
ひ
:ツバメの仲間と、アマツバメの仲間かな?
安
:うん。それにヨタカもそうだ。両生類、は虫類を食べるサシバ、大型昆虫を食べるアオバズクなどもそうだけど、日本で冬を越さない鳥たちは、食糧を求めて南の国へ旅をする事情が考えられるんだよ。
ひ
:食べ物を求めて渡りをしているとしたら、南の国にずっといてもいいんじゃないの?
安
:たくさんのヒナを育て、自分も食べるためには、多くの食糧が必要となる。だから、危険を冒してでも渡りをして、より多くの食べ物のあるところで繁殖することは、子孫を残す上で有利であると考えられるんだ。
企画・文:ネイチャースクール