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こんにちは!ひなこです。
最近、いつもの公園に鳥が少なくなったみたいに思えて、なぜだか安西さんに聞いてみたの。そしたら、8月頃は鳥のさえずりがやんで、羽が抜け変わる時期に入るから、鳥の行動が目立たなくなるんだって。
まさに「バードウォッチャー泣かせの8月」・・・
でも、そういう季節だからこそ、普段見過ごしがちな、身近な鳥の暮らしぶりを見るチャンスかもね。
今回は鳥たちの「浴びる」習慣に注目します!
なぜ「浴び」る?
ひなこ(以下ひ)
(汗を拭きつつ)今日も暑いっ!いいなあ、鳥は。私が鳥だったら、すぐ冷たいお水のあるところに飛び込めるのにー。
安西(以下安)
おっ、ちょうど、ひなこちゃんの足下に、小鳥の水浴び場があるよ。
ひ
どこどこ。えっ、この水たまり?水は少ないし泥水だよ。
安
スズメなどの小鳥は、足が立つようなごく浅い水辺でないと水浴びできないんだ。泥水だろうと、足が立つことが最優先のようだね。彼らは、常に水浴びをしなくてはならないんだから。
ひ
水浴びって、暑いからするんじゃないの?
安
真冬でも水浴びしてるよ。鳥の羽には体温調節や、飛ぶという大事な役目がある。その羽の手入れのために、水浴びして、羽づくろいをしながら脂をぬることが必要だと考えられているんだ。
ひ
脂ってどこから持ってくるの?
安
尾羽の付け根にある「尾脂腺(びしせん)」というところから脂がでる。この脂をくちばしでとって、羽にぬり付けることで、羽の防水能力が高まるんだ(図1)。
ひ
ちゃんとお手入れ用品が体に内蔵されているわけね。
安
うまくできてるよね。それに、お手入れする羽の順番も決まっているようで、僕が見ている範囲では、まず翼から羽づくろいを始めるんだ。
ひ
どうして翼からなの?
安
多分、厳しい自然界で生き延びるには、いつ何があってもいいように、すぐ飛べるようにしてるんじゃないかな。
どう「浴び」る?
安
水以外で鳥が「浴びる」のを見たことある?
ひ
あっ私、このまえ、スズメが砂浴びしてるところを見たよ!
安
そう、スズメは水も砂も浴びる点で、変わった鳥なんだ。キジの仲間やヒバリは砂浴び専門で、水浴びはしないらしい。
ひ
キジやヒバリ以外は、みんな浅い水辺で水浴びするの?
安
深くてもOKという「飛び込み」式っていう水浴びの方法もある。飛びながら水面に突っ込むんだ。アマツバメやツバメの仲間が代表選手(図2)。彼ら飛行生活者は陸に降りるのは苦手らしい。カワセミの仲間も飛び込むんだけど、彼らの場合は、ダイビングという魚の取り方と同じだね。アジサシやヒヨドリでは飛び込み式も、普通の小鳥のような水面でパシャパシャもやるようだ。
ひ
その他の鳥はだいたい「パシャパシャ」式と思っていいの?
安
うん。メジロのような小さい鳥からトビなどのデカぶつまで、幅広くこれをやっている。カモのような水に浮いている鳥もそうなんだよ。
気分転換に「浴び」る?
ひ
カモはもともと水に浸かっているのに、わざわざ水浴びするの?
安
背中の羽も水を被る必要があるでしょ。カモ類は他にも「水面でんぐりかえし」をするんだよ。で、カモがやるんだから近縁のガンやハクチョウもやるのかなって見ていたら・・・
ひ
ハクチョウもやるんだ!
安
うん。大型のハクチョウのでんぐりがえしを見た時は、思わず笑っちゃったよ。あのデカぶつが、ぐるーんとまわって、ばっしゃーん!
ひ
へえ!なんか、遊んでるみたい。
安
彼らには、遊ぶ余裕ってあまりないと思うんだけど、水浴びは単に羽の手入れだけではなく、気分転換というか、ストレス解消といった役割もあるかもしれない。
ひ
腹が立ってムカムカしてる時に、よし、イッチョウ浴びるか!って?
安
そう。そして、むらむらしてるときもやる。
ひ
はあ?!
安
けんかや交尾の後に、よく水浴びするのを見るからさ。
ひ
うーん。ムカムカ、むらむらしたら水浴びですか。
安
人間みたいだよね。スズメやムクドリの「集団浴び」もおもしろいよ。一羽がいい場所を見つけて浴び始めると、それを見ていた仲間がどっと詰めかけてきて、みんなでわさわさやり始めるんだ。「あいつがやってるなら、俺も浴びなきゃソンだ!」とばかりにね。集団心理というヤツかな。
「浴び」もいろいろ、生活もいろいろ
安
水や砂だけじゃなく、雨や日光、煙突などからでている煙、アリを浴びる鳥もいるんだ。
ひ
え、アリって、ぞろぞろ歩いてるあのアリ?
安
オナガやカケスなどで観察例があるよ(図3)。僕の知人がハシブトカラスがアリ浴びをするところを見てね。アリを体にいっぱいはわせながら、くちばしでつぶしたアリを羽にこすりつけてるんだって。その様子がこう、うっとりと、陶酔しきった様子だったそうな。
ひ
なんだかムズムズしてきちゃった。そんなこともあるんだ。
安
この行動の意味もよく分かっていないんだけど、アリは体内に「蟻酸」(ぎさん)を持っているんだ。その蟻酸には殺菌作用があるので、それを利用してダニやシラミのような、羽につく寄生虫などを殺しているのではないかと言われている。
ひ
う〜ん、それにしても、いろんな行動、不思議な行動があるのね。
安
野鳥は自然の中で、彼らなりに暮らしている。だから、僕たちが出会うのは彼らの様々な生活の中のワンシーンなんだ。どんな鳥でも、一つ一つの出会いに意味があるんだよ。きっと、「生き延びるための何か」をしているはずだから。
ひ
そっか。(スズメがひなこの上をささーっと飛んでいく)あ、すずめ!水でも砂でも浴びてくれないかな。じっくり観察したい!
安
私も水浴びたい。(と汗を拭く)
イラスト(図1〜3):加藤明子