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バードウォッチングを始めよう

 
ひなこのお散歩鳥講座

はじめまして。私、ひなこ。中学3年生です。
バードウォッチングをつい最近始めたばかりで、ようやく双眼鏡使いにも慣れたところ。今まで気づかなかった家の周りの野鳥たちのかわいさに感動の毎日です。
だけど、鳥たちがどんなふうにくらしてるんだかどうもよくわかんない!
どこを見れば分かるんだろう?
そんな私の疑問に答えてくれるのが、探鳥会で知り合った鳥歴30年以上のベテラン・安西さん。
月に一度の探鳥会の前に、下見を兼ねて散歩しながら、鳥のくらしのことや季節の鳥の楽しみ方とか、教えてもらえることになりました。
今までのぶんまで、いっぱい質問しちゃうんだ!

若造ラッシュ!

ひなこ(以下ひ)今日の探鳥会はどんな鳥に会えるかな。ひとくちにいったら、7月のポイントってなんですか?
安西(以下安)そうだなぁ。僕がおもしろいと思うのは、若造たちかな。今ならあちこちにいるよ。
ワカゾー?
例えば若いスズメは見分けられる?
もちろんスズメは知ってるけど、若いっていうと・・・。こどものこと?
7月は鳥たちの子育てシーズンも後半。そろそろ幼鳥が親鳥から独立する季節なんだ。
野鳥の子育て計画ってどうなっているんですか?
日本では、子育ては春から夏に集中してる。スズメ位の大きさの小鳥なら、おおざっぱに言って、春に雄がさえずりはじめ、求愛、結婚、巣作りや交尾、と進むんだ。その後、卵を産み終え、抱きはじめてから2週間弱でヒナがうまれる。指の先くらいの丸裸のヒナに羽毛が生え揃って、親と同じくらいの大きさまで育ち、巣立たせるまでが、やっぱり2週間位かな。
え、ちょっとまって。そんなにはやく、ヒナは1人で生きていけるようになるの?
そう。だから親はそれまでが大変なんだ。スズメでは1日数100回、2週間で4000回以上も虫を探して与えたという話を聞いたよ。しかも巣立ってすぐの幼鳥は、まだうまく飛べなかったり、何が危険かがわからなくてボケーとしているから、ネコ、カラスをはじめモズやツミなどにとって彼らは格好の食い物だろう。親鳥はそんな幼鳥たちの安全に気を配りつつ、さらに10日前後は大食らいの彼らの食欲を満たすために大忙しだ。

渡る世間は鳥ばかり?

ひぇー。親ってすごい!でもなんでそんなにあわてて子育てするんだろう。
そう。そのワケの1つには、多くの小鳥の生存率が高くないことがある。そのかわり子育てのサイクルがはやいし、子だくさんなんだ。平均寿命のデータって少ないんだけど、スズメで1年3カ月、シジュウカラで1年8カ月、ツバメで1年1カ月など、2年以上の記録は小鳥では知らないな。
毎年いろんな野鳥のヒナがたくさんうまれたって、それで渡る世間が鳥ばかりになるってことはないものね。
はっはっは。・・普通ないだろうね。多くは、他の生物の食物となるのが自然界のルール。どんな生き物も、生き延びたホンの一部が次の子孫を担うことで、自然界のバランスが成り立っているんだろうね。
ヒナにしろ、親にしろ、生きていくのは大変なのね。
うん。自分が生き残ることさえ大変だろう。だからこそ、子育てに時間をかけて、長い間親子の関係を続けるような暮し方はできないんだろうね。


親子を見分けてみよう!

さっき、ヒナは親に近いサイズになって巣立つって言ってたけど、カルガモは小さいヒナを連れているよね。
そう!地上に巣を作る鳥の場合、ヒナはおませちゃん。卵から孵ってすでに羽は生えているし、もう歩けるんだ。地上の巣は危険が多いので親鳥は早い段階でヒナを連れ出すわけだ。
巣立ったヒナが親の大きさと変わらない鳥は、親子の見分けがつかないの?
大きさではなくて、羽の色の違いで見分けられるよ。でも、その羽も秋までに抜け変わって親鳥のような色になるんだ。ちなみに巣立ってから、それまでの段階を幼鳥と呼ぶんだよ。
今なら、幼鳥は羽の色の違いで分かるのね。
羽の色も違えば、顔が幼いし、動作も若いんだよ。
うー。幼いとか、若いとかって言われても・・・。
大丈夫!日頃、成鳥をよく見ていれば比較してわかるし、初心者でもわかる見分けのポイントはいくつもあるんだよ。
私にも分かるかな?
うん、バードウォッチングでは聞く楽しみもあるし、声も見分けるポイントなんだ。例えばスズメのヒナの声は、巣にいる時からシリシリシリと聞こえる。シジュウカラではシシシシーシーと、親と違うだろう?
でも、いつまで違う声なの?来年の春、雄は一人前にさえずらなくちゃオクサンが来ないんでしょ。
スズメやシジュウカラでは、巣立ち後、親に連れられているうちに親と同じような声も出すようになるよ。でも、ハシブトガラスの声変わりは結局よく分からなかった。秋になっても親子が一緒にいて、ずっと幼鳥の声は甘いままだったんだ。
わかっていないことって、まだまだたくさんあるのね。

一羽の奇跡

見分けるポイントは姿かたちだけじゃない。幼鳥が親に連れられている時期なら、翼をバタバタさせる甘えのポーズでもわかるよ。また、鳥は経験から学習することがあるから、経験不足の幼鳥は、いろんな行動がどこかぎこちなかったりする。
ぎごちない?
例えば、カラスの若造を見ていて気づいたんだけど、成鳥並みに飛べるようになっても、着地はまだヘタクソなんだよね。
へえ、どんなふうに?
枝や電線にとまる時「おっとっと」てな感じでよろけるんだよ。他にもあるよ。道の真ん中をハクセキレイの幼鳥が歩いていてね。僕の行く手を幼鳥は、前へ、前へと走って逃げるばかりで困っちゃった。これが成鳥なら、すぐ横にそれて逃げるんだけど。やっぱり学習できていなかったんだろうな。
もたもたしているうちに食べられてしまうことも多いんでしょうね。
ああ。直接食べられる他に、ガラスへの衝突や交通事故なども経験を積んだ成鳥より多いだろうね。渡り鳥では雨、風、タカの来襲、中継地や越冬地での環境問題もある。冬も留まる鳥には寒さや餌不足との戦いがある。繁殖できるまで生き延びることができるのは、優れているか、運がいいか、いずれにしろわずかでしかない。
なにげなく飛んでるけど、小鳥一羽の命って奇跡とも言えるんだ・・・。
うん。その奇跡も小鳥のエサになるたくさんの虫や、虫のエサとなる豊かな植物に支えられているんだよ。さあ、そろそろ探鳥会の始まる時間だ。僕がナンダカンダ言うのをただ聞いているよりも、その奇跡を自分の目で見なくちゃね。

企画・文/ネイチャースクール

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