第40回(2008年9・10月号) 「ハチドリのようなものが花の蜜を吸っていましたが、日本にもハチドリがいるのですか?」
ホウジャクと呼ばれるスズメガ科の数種は昼行性で、花を訪れます。羽(前翅)を広げた長さで小さいホシヒメホウジャクが45ミリ、大きなクロホウジャクやホウジャクでは65ミリ程度で、胴が太く、素早く飛ぶだけでなく、空中で羽ばたきながら静止して吸蜜する姿はハチドリそっくりです。さらに、口吻をのばすとそれがくちばしやハチドリがのばした舌のようにも見えます。鱗翅目に分類される昆虫の90%以上はガの仲間とされますが、学術的にはチョウとガは区別できず、フランスやドイツのように分けない国もあります。スズメガ科だけでも世界で1,000種、日本でも100種近くに及びます。
生物の地理的分布では、日本の屋久島以北はユーラシア大陸を中心とした「旧北区」とされ、日本からイギリスまでは共通の科や種が多くいます。北アメリカは「新北区」、中南米は「新熱帯区」とされ、アマツバメ目ハチドリ科やタカ目コンドル科に分類される鳥たちはこれらの地域だけに分布しています。また、スズメ目のミソサザイ科やホオジロ科の種が非常に多いので、彼らはアメリカ起源でアラスカ経由で旧北区にも広がったと考えられます。日本でもトカラ列島以南は「東洋区」とされ、カンムリワシやリュウキュウツバメなどの南西諸島ならではの鳥は、アジアの分布の北限になります。東洋区にもハチドリはいませんが、蜜を好む鳥はタイヨウチョウ科、ミツスイ科、ハナドリ科など少なくありません。